~ 英国発の軌道上半導体製造実証、中国再使用ロケットの進展、トルコの海外宇宙港構想など ~

2025年12月26日から2026年1月2日の期間、Astronaviが収録した宇宙ビジネスニュースは全77件でした。

年末年始の期間にあたり、全体件数は落ち着きを見せましたが、内容は非常に濃密な1週間となりました。 英国企業による「軌道上半導体製造」に向けたプロセス実証の成功や、中国の再使用ロケット「朱雀3号」の軌道投入、さらにはトルコによるソマリア宇宙港建設といった、技術・地政学双方で将来の産業地図に影響を与えるニュースが報じられています。

1. 今週のトピックス(ハイライト)

① 【製造・英国】Space Forge、軌道上でのプラズマ生成に成功

英国のSpace Forge社は、自律型衛星「ForgeStar-1」においてプラズマ生成に成功したことを発表しました。

  • 技術的意義: これは軌道上での「気相成長(Gas-phase crystal growth)」に必要な条件形成に関わる工程であり、高性能な半導体材料製造に向けた重要なマイルストーンです。

  • ビジネス視点: 同社はこれを商業的な軌道上製造における「世界初」の能力と位置づけており、微小重力・真空環境を活かした次世代材料のサプライチェーン構築に向けた一歩となります。

🔗 詳細記事: スペース・フォージが衛星上のプラズマ生成を公表した

② 【輸送・中国】LandSpace「朱雀3号」、軌道投入達成も回収は課題残す

中国の藍箭航天(LandSpace)は、液体酸素・メタンロケット「朱雀3号(Zhuque-3)」の発射を実施しました。

  • 成果と課題: 第2段の軌道投入には成功したものの、同時に実施された第1段の垂直着陸(VTVL)検証では、着陸段点火後の異常により軟着陸には至りませんでした。

  • 展望: 公式発表では、将来的にLEO(低軌道)へ18トン以上の運搬能力と、20回以上の再使用を目指すとしており、SpaceX追随に向けたデータ取得が進められています。

🔗 詳細記事: 藍箭航天が朱雀3号で入軌を達成し回収検証結果を示した

③ 【インフラ・トルコ】ソマリアでの宇宙港建設を開始

トルコ産業技術省は、ソマリアにおける宇宙港建設の第一段階を開始したと公表しました。

  • 戦略的意図: 赤道に近いソマリアの地理的優位性を活用し、打ち上げ効率を高める狙いがあります。

  • 国家目標: トルコの国家宇宙プログラムにおける「独立した宇宙アクセス」の確保に加え、将来的な商業打ち上げサービスの提供も視野に入れた、地政学的にも重要な動きです。

🔗 詳細記事: トルコがソマリアで宇宙港の建設開始を公表した

④ 【防衛・米国】CACI、宇宙軍のネットワーク近代化を受注

米国防衛企業のCACI Internationalは、米国宇宙軍(USSF)より基地内ネットワーク(BAN)の近代化契約を最大2億1,200万ドルで受注しました。

  • 技術内容: ソフトウェア定義型ネットワーク(SDN)技術を用い、14施設の通信インフラを近代化します。

  • 市場への示唆: 宇宙システムそのものだけでなく、それを支える「地上セグメント(Ground Segment)」の高度化とセキュリティ強化に巨額の予算が投じられている現状を示しています。

🔗 詳細記事: CACIが米国宇宙軍向けSDN基盤近代化契約を受注


2. カテゴリ別・国別動向

カテゴリ別:インフラと企業動向が中心

今週は、**「企業動向・資金調達(10件)」「宇宙インフラ(8件)」**に関連するニュースが多く見られました。

  • 輸送・打上げ(6件): 中国の朱雀3号やSpaceXのファルコン9運用などが含まれます。

  • 地球観測(6件): イタリアのCSG-3号機やイランの衛星投入など、安全保障と民生利用の両面で動きがありました。

国・地域別:米国一強の中、中東・アジアの動き

  • 北米(44件): 米国が42件と全体の過半数を占め、SpaceXの定常運用や防衛契約が件数を牽引しています。

  • 欧州広域(14件): 英国、イタリア、ロシア等を含め、独自の技術実証や打ち上げ実績が報告されています。

  • 中東(6件): トルコの宇宙港構想やイランの衛星打ち上げなど、国家戦略としての宇宙開発が目立ちました。

  • アジア: 中国(5件)、韓国(2件)などで具体的なハードウェア進捗が見られます。


3. その他の注目ニュース(ピックアップ)

  • 【伊・米】SpaceX、イタリアのSAR衛星「CSG-3」を打ち上げ イタリア宇宙機関(ASI)等の合成開口レーダー衛星「コスモ・スカイメッド第2世代」の3号機が、ファルコン9により軌道へ投入されました。4機体制構築に向けた着実な進捗です。

    🔗 詳細記事: スペースXがコスモ・スカイメッド第2世代3号機を打ち上げた

  • 【韓国】ハンファ、月着陸船の推進系開発を受注 ハンファ・エアロスペースが韓国航空宇宙研究院(KARI)より月着陸船のエンジン等を含む推進システム開発を受注(約1033億ウォン)。自国の探査計画におけるサプライチェーンの国産化・強化が進んでいます。

    🔗 詳細記事: ハンファが韓国の月着陸船向け推進系開発を受注した

  • 【露・イラン】ソユーズロケットでイラン衛星3基を打ち上げ ロシアのボストチヌイ宇宙基地から、イランの地球観測衛星「Paya」など3基が打ち上げられました。農業・環境監視などの民生用途が謳われています。

    🔗 詳細記事: イランがソユーズで衛星パヤなど3基の投入を発表した


編集部より: 2026年の幕開けは、英国ベンチャーによる「宇宙製造」の進展や、トルコの「海外宇宙港」といった、従来の官需・輸送中心のニュースから一歩踏み込んだ、産業の広がりを感じさせるトピックで始まりました。本年も週次の定点観測を通じて、宇宙ビジネスの潮流をお届けします。