【要点】
恒星間から飛来した彗星「3I/ATLAS」(3番目に確認された恒星間天体)は、2025年10月30日に太陽から約1.35天文単位(約2億2000万km)の位置で近日点を通過しました。
太陽の加熱により活動が最も活発化し、彗星核から大量のガスと塵が噴出しています。
この時期、3I/ATLASは太陽の背後を通過しているため地上望遠鏡では観測できませんが、太陽系内の複数探査機が協調して観測を実施しています。
観測には、NASAの探査機「サイキ(Psyche)」「ルーシー(Lucy)」、およびESAの「エクソマーズTGO」「マーズ・エクスプレス」、さらに木星氷衛星探査機「JUICE」などが参加しています。
これらのデータから、炭素成分の割合が高いなど、太陽系外起源を示す化学的特徴が確認されています。
特にJUICEは2025年11月2日から25日にかけて遠距離観測を行い、取得データは2026年初頭に地球へ送信される予定です。

【編集部コメント】
今回の3I/ATLAS観測は、限られた観測機会を活かして科学的価値を最大化する「機会の科学(opportunistic science)」の好例といえます。
複数の惑星探査機がそれぞれの軌道位置から同一天体を観測することで、化学組成や放出活動を多視点で解析でき、恒星間天体研究の新たな基盤を築く成果となりました。
3I/ATLASの特異な組成は、太陽系外惑星系にも「生命の材料」が存在し得る可能性を示唆しており、宇宙生物学や太陽系形成論に重要な示唆を与えると考えられます。

【参照情報】
媒体名:Space.com
発行日:2025-10-30
リンク:https://www.space.com/astronomy/comets/you-wont-see-interstellar-comet-3i-atlas-zoom-closest-to-the-sun-on-oct-30-but-these-spacecraft-will

企業公式リリース:NASA(米航空宇宙局)
https://science.nasa.gov/solar-system/comets/3i-atlas/

関連記事:
Comet 3I/ATLAS reaches perihelion, begins solar transit
https://www.astronomy.com/science/comet-3i-atlas-reaches-perihelion-begins-solar-transit/

ESA’s ExoMars and Mars Express observe comet 3I/ATLAS
https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/ESA_s_ExoMars_and_Mars_Express_observe_comet_3I_ATLAS