【要約】
グーグルは、地上のAIデータセンターが直面している「電力消費」「土地・水資源」「冷却負荷」といった課題に対応するため、太陽光で駆動する衛星群による宇宙データセンターの構想「Project Suncatcher」を公表しました。米メディア Orbital Today の報道によれば、この構想では低軌道に展開される複数の小型衛星に、同社開発のAIチップ「TPU(Tensor Processing Unit)」を搭載し、太陽光発電から得られるほぼ連続的な電力でAI演算を行うことが想定されています。
衛星は、太陽同期軌道のデーン-トゥ-ダスク(昼夜連続照射)運用を前提とし、地上より高効率な太陽光パネルを活用。衛星同士は光学通信(レーザー)リンクで高速データ伝送を行い、まるで地上スーパーコンピュータ並みの性能を宇宙で実現しようというものです。初期実証として、2027年初頭に試験衛星2機を打ち上げる計画が報じられています。
同プロジェクトは、2030年代中盤までに「打上げコスト/運用コストが地上方式と同等水準になる可能性」をグーグル自身が分析しており、地球資源を使わずにAI基盤をスケールさせる次世代構想として注目されています。

【編集部コメント】
この発表は、AIインフラと宇宙技術が融合することで生まれる「計算資源の脱地上化」という新潮流を象徴しています。日本・アジア地域においても、次のような示唆が得られます:

高頻度・大規模なAI演算需要が生まれる中で、電力・水・冷却設備など地上インフラの限界が意識されつつあり、宇宙ベースの代替インフラが概念レベルで検討されている点。

衛星・光学通信・高性能AIチップという三つの先端技術が同時に進行しており、国内衛星事業・学術機関・スタートアップにとって参画機会・技術転用・協業の観点で関心が高まる可能性。

一方で「大気圏外での冷却」「放射線耐性」「超高速データリンク」「軌道維持/衝突回避」「打上げ・運用コスト低減」といった実務的、技術的ハードルも非常に高く、概念から実運用への移行には時間・資本・制度整備が不可欠です。

【出典情報】
参照情報(媒体名):Orbital Today ? “Google Plans Solar-Powered AI Data Centres in Space”
リンク:https://orbitaltoday.com/2025/11/06/google-plans-solar-powered-ai-data-centres-in-space/

公式発表補足:Business Standard ? “Google launches Project Suncatcher to test AI data centres in space”
リンク:https://www.business-standard.com/technology/tech-news/google-project-suncatcher-ai-computing-in-space-solar-powered-satellites-2025-125110501346_1.html

関連記事:Ars Technica ? “Meet Project Suncatcher, Google’s plan to put AI data centers in space”
リンク:https://arstechnica.com/google/2025/11/meet-project-suncatcher-googles-plan-to-put-ai-data-centers-in-space/