【要約】
米国航空宇宙局(NASA)は、有人月面探査計画アルテミス3で使用予定の月着陸船Starship HLS(Human Landing System)の開発スケジュールについて懸念を強めています。
NASAの航空宇宙安全諮問委員会(ASAP)は、Starship HLSのスケジュールは大きく逼迫しており、2027年に予定されるアルテミス3の月面着陸より数年遅れる可能性があると指摘しました。
特に、極低温の推進剤を軌道上で補給する軌道上燃料移送技術がまだ実証されておらず、多数の打ち上げと試験を要する点が最大の技術的リスクとされています。
2025年10月には、NASAのショーン・ダフィー長官代行が、SpaceXのStarship開発の遅れを理由に、同社が受注している約40億ドル規模の月着陸船契約を他社との競争に開放する方針を示し、Blue Originなど追加の事業者参入に言及しました。
これにより、アルテミス3の月着陸システムはSpaceX単独ではなく、複数企業による競合体制へ移行する可能性が出ています。
【編集部コメント】
本件は、アルテミス計画を巡りNASAがSpaceXへの単独依存を見直し、月着陸船の調達に再び競争原理を導入しようとする動きの一環と位置付けられます。
Starship HLSは超大型一段式着陸船と多数のタンカー打ち上げ、軌道上燃料補給を組み合わせた野心的な設計であり、その中核となる極低温推進剤の軌道上移送技術が、スケジュール面の最大のボトルネックとなっています。
NASA指導部が公の場でスケジュールリスクと中国との「月面レース」への懸念を語り、契約を競争に開放すると明言したことは、国家目標である2027年以降の有人月面着陸を守るために、政策面からも複数ベンダー体制によるリスク分散と開発加速を促すシグナルといえます。
【出典情報】
参照情報(媒体名):The Conversation
発行日:2025/11/05
リンク:https://theconversation.com/whats-gone-wrong-between-nasa-and-elon-musks-spacex-268577
公式リリース:
公式リリースなし
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