【要約】
宇宙空間でデータを処理する宇宙搭載コンピューティングの実証が進み、衛星データの扱い方が変わりつつあります。
米国Hewlett Packard Enterprise(IT)は、NASA Ames研究センターと協力し、ソフトウェアによる放射線耐性を備えた「Spaceborne Computer」シリーズを国際宇宙ステーションで運用し、未改造の商用コンピュータを宇宙で長期稼働させることに成功しました。
同社は現在、Edgelineサーバーなどを用いるSpaceborne Computer-2を通じて、地球観測データなどを軌道上で解析し、有用な結果だけを地上に送信することで、通信帯域とダウンリンク時間を大幅に削減する取り組みを進めています。
さらに、アイルランドUbotica Technologies(宇宙ソフトウェア)は、機械学習モデルを搭載した「CogniSAT」プラットフォームをISSで試験し、雲量の多い画像を自動的に除外するなど、エッジAI処理の有効性を確認しました。
こうした宇宙搭載コンピューティング技術は、今後の地球観測衛星や商業コンステレーションにおいて、災害監視や環境監視など時間依存性の高い用途で、より迅速かつ効率的なデータ活用を可能にする基盤として期待されています。

【編集部コメント】
本件は、宇宙インフラが「データ収集装置」から「軌道上の情報処理センター」へと役割を広げる動きの一環と位置付けられます。
観測データを衛星側であらかじめふるい分けることにより、地上局やクラウドの負荷を抑えつつ、災害発生や環境異常のような重要イベントを素早く把握できる点は、サービス価値の向上に直結します。
今後は、大規模コンステレーション事業者や公共機関が、どの程度まで「宇宙側のコンピューティング能力」を組み込むかが、運用コストと応答性の両面で競争力を左右する重要な論点になっていくでしょう。

【出典情報】
参照情報(媒体名):Tech Briefs / NASA Spinoff
発行日:2025/11/06
リンク:Cutting-Edge Computing Goes Spaceborne – Tech Briefs:https://www.techbriefs.com/component/content/article/54139-cutting-edge-computing-goes-spaceborne

公式リリース:
Cutting-Edge Computing Goes Spaceborne | NASA Spinoff:https://spinoff.nasa.gov/Cutting-Edge_Computing_Goes_Spaceborne

HPE Spaceborne Computer-2 returns to the International Space Station:https://www.hpe.com/us/en/newsroom/press-release/2024/01/hpe-spaceborne-computer-2-returns-to-the-international-space-station.html

関連記事:
Google Is Sending Its TPUs to Space to Build Solar-Powered Data Centres:https://analyticsindiamag.com/ai-news-updates/google-is-sending-its-tpus-to-space-to-build-solar-powered-data-centres/

Intelligent Processing at the Edge | NASA Spinoff:https://spinoff.nasa.gov/Intelligent_Processing_at_the_Edge