【要約】
ナノテクノロジー専門メディア Nanowerk は11月12日、オーストラリア University of Sydney(研究大学)の研究チームが、宇宙放射線で劣化したペロブスカイト太陽電池の性能を熱処理で回復させる手法を紹介したと報じた。
本研究は2023年に同大学が発表した成果に基づき、陽子線照射で性能が低下したペロブスカイト電池が、真空下での熱アニーリングにより初期値に近い出力まで戻ることを示した。
この回復現象は、材料内部の欠陥や界面損傷が熱処理によって緩和されるためと説明されている。
従来のシリコン電池に比べて軽量かつ低コストな特性を持つペロブスカイト電池は、放射線損傷への耐性向上が実現すれば、次世代衛星の宇宙用電源として応用が期待されている。

【編集部コメント】
本件は、宇宙用太陽電池の性能維持に向けて、防御強化ではなく自己修復を取り入れる研究が進む動きの一環と位置付けられる。
熱環境を利用して定期的に性能を回復させる仕組みが実用段階に達すれば、複数衛星を継続運用するコンステレーション事業の維持コストを大幅に削減する可能性がある。
また、軽量・柔軟なペロブスカイト材料は展開型電力システムとの相性も良く、将来の宇宙機設計に新たな選択肢をもたらすと考えられる。

【出典情報】
参照情報(媒体名):Nanowerk
発行日:2025/11/12
リンク:https://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=68084.php

公式リリース:
Solar cells that heal in space(University of Sydney)
2023年に発表。

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※ DOIにより公開されている関連学術論文。