要点
  • 米議会予算局(CBO)は、トランプ大統領が掲げるGolden Dome for America(GDA)の配備および20年間の運用費用を約1.2兆米ドルと試算した12ページの報告書を公表し、Space.comが2026年5月13日に詳細を報じた。
  • 試算額は前年のCBO見積もり(5,420億ドル)の倍以上、構想発表時(2025年5月)にホワイトハウスが示した約1,750億ドルの約7倍に相当する。
  • GDAは弾道ミサイル、極超音速兵器、その他航空脅威から米本土を防衛する複合防衛網として構想され、先進ミサイル追跡衛星に加え、米宇宙軍が2028年運用準備を目指す宇宙ベース迎撃機(SBI)を含む。
  • CBOの仮定的な4階層構成では、宇宙ベース迎撃層が取得費用の約70%、ライフサイクル費用全体の約60%を占めており、同層は近極軌道のLEOに7,800基の衛星を擁し、北朝鮮など「地域型敵対勢力」を代表例とする10発のICBMの近同時打ち上げをブーストフェーズで迎撃可能と想定されている。
  • 報告書は地域型敵対勢力と、中国・ロシアのような同等または準同等の敵対勢力を区別したうえで試算している。
  • 1.2兆ドルのうち約1兆ドルは迎撃層・追跡層と関連研究に充当される取得費用となる。
  • CBOの試算額は、直近で国防総省幹部が言及した「今後10年で1,850億ドル」を大きく上回り、報告書はその乖離を、目標とするアーキテクチャがCBOの仮定的システムより限定的、または異なるコスト前提を用いている可能性で説明している。
  • 一方、米宇宙軍は既にGolden Dome迎撃機向けに合計32億ドルの初期契約を、GITAI USA、Booz Allen Hamilton、Quindar、Sci-Tecを含む契約者群に発注済みで、宇宙システム軍司令部(SSC)は運用上の機密性を理由にSBIプログラムに関する追加技術情報の公開を差し控えている。
編集部コメント

Golden Domeに関するCBO試算(20年で1.2兆ドル)と国防総省提示の目標値(10年で1,850億ドル)の乖離は、同一プログラムに対する見通しの相違というより、「仮定的アーキテクチャ」と「目標型アーキテクチャ」の前提差として読むのが整合的である。CBO試算が宇宙ベース迎撃層(SBI)を取得費用の約70%、ライフサイクル費用の約60%を占める最大コスト要素と位置づけたことは、本構想の経済性が極めてSBIアーキテクチャの設計選択次第であることを示している。一方で米宇宙軍がGITAI USA、Booz Allen Hamilton等を含む契約者群に対し32億ドル規模の初期発注を既に走らせていることは、コスト試算の確定を待たずに産業コミットメントを先行確保するプログラム運営方針を示している。

参照情報
一次情報(公式リリース、公式発表、PRサイト等)
トランプ大統領、ゴールデンドーム・ミサイル防衛システムを発表(ホワイトハウス)

https://www.whitehouse.gov/gallery/president-trump-announces-the-golden-dome-missile-defense-system/

参照記事
「ゴールデンドーム」ミサイル防衛コスト見積もり、1.2兆ドルに膨張

https://www.space.com/space-exploration/satellites/cost-estimate-for-golden-dome-missile-defense-system-balloons-to-usd1-2-trillion

参照記事
米宇宙軍、「ゴールデンドーム」迎撃機向けに初期32億ドルを発注

https://spaceq.ca/u-s-space-force-awards-initial-3-2b-for-golden-dome-interceptors/