要点
- Record China(提供:CGTN Japanese)の報道によれば、中国の貨物宇宙船「天舟10号」が2026年5月11日に打上げに成功し、実験物資が中国宇宙ステーションに到着後、計41項目の科学実験が順次実施される予定で、その中に新型の宇宙用太陽電池「フレキシブルソーラーウィング」の実験が含まれている。
- 記事は、現在の衛星・宇宙ステーションが採用する剛性ソーラーウィングは重量・体積・コスト面で課題が多いと整理したうえで、本実験を「画期的進展」と位置づける。
- フレキシブル単結晶シリコン太陽電池は、中国科学院(CAS)上海マイクロシステム情報技術研究所の研究チームが開発したものである。
- 同研究所の刘正新(Liu Zhengxin)研究員によれば、新型電池は厚さわずか80マイクロメートルで、折りたたみおよび巻き取りが可能である。
- 刘研究員は、本電池が巻き取り式・平板式のいずれの構成にも対応でき、1平方メートル当たり質量1キログラム未満、高効率、宇宙放射線への耐性、ロケット打上げコストの大幅低減という特性を兼ね備えると述べた。
- 記事は、このような軽量・高効率のフレキシブルソーラーパネルを、今後の大規模宇宙開発を支える「エネルギーの心臓」と位置づけている。
- 軌道上で使用したサンプルは地上に回収後、同一ロットの地上保管サンプルと比較し、形態・電気特性・光学特性・力学特性・微細構造などの試験を行い、軌道上劣化特性とそのメカニズムを解析する計画である。
編集部コメント
参照情報
一次情報(公式リリース、公式発表、PRサイト等)
中国、衛星・宇宙ステーション向けフレキシブル単結晶シリコン太陽電池開発
http://www.cas.cn/en/news/2026/05/china-flex-solar-cell-satellites
参照記事
中国、フレキシブル単結晶シリコン太陽電池を開発 将来の衛星・宇宙ステーションの「エネルギーの心臓」に
https://news.nicovideo.jp/watch/nw19276753?news_ref=search_search
宇宙用太陽電池は米Spectrolab、独AzurSpaceなどのGaAs多接合系が高効率市場の中核を占め、シリコン系は主に地上向け技術として位置づけられてきた。フレキシブル化のアプローチではISSに搭載されたROSA(Roll-Out Solar Array)や薄膜系の先行事例があり、各国はそれぞれ異なる材料体系で展開してきた。中国がシリコン系のフレキシブル化を独自路線で進める動きは、宇宙太陽電池サプライチェーンにおける米欧依存度を下げる技術的代替路の整備という側面を持つ。自国の宇宙ステーションを試験ベッドとし、軌道上で取得した素子サンプルを地上に回収して比較解析するプロトコルは、宇宙級認証(米AIAA、欧ECSS等)に相当する中国独自の評価基盤を整える布石とみてよい。大型コンステレーションや宇宙太陽光発電(SBSP)など次世代の高出力用途では太陽電池の質量・体積効率が事業性を決定づける要素となり、軽量フレキシブル系の本格採用は宇宙電源市場の競争軸を変える可能性がある。