【要点】
・ネブラスカ大学リンカーン校やパデュー大学などの研究チームが、月面レゴリスを用いた粉末ベースの3Dプリント技術の障壁と可能性を論文発表した。
・月面環境(微小重力、真空、極端な温度変化)における粉体挙動を詳細に分析し、地球上とは異なる物理特性をマッピングした。
・レーザーを用いた積層造形技術により、現地調達(ISRU)したレゴリスから耐久性と耐熱性を備えた構造物を製造する手法を提案している。
・微小重力下ではファンデルワールス力が支配的になり、粉末の凝集やノズル詰まりのリスクが高まることを指摘した。
・太陽光発電による電解プロセスを用いた粉末製造が、重力に依存せず宇宙での運用に最も適しているとの見解を示した。
・本研究成果は、将来の月面基地建設において地球からの資材輸送コスト(1kgあたり約1.2万ドルとされる)を劇的に削減する鍵となる。
【編集部コメント】
「月で家を建てる」ための基礎工事が、ラボレベルで着実に進んでいる。レゴリスは単なる砂ではなく、鋭利で帯電しやすい厄介な素材だが、それを3Dプリントの「インク」に変える技術こそが、人類の月面長期滞在を可能にする。この研究は、材料工学の枠を超えて、宇宙経済圏を成立させるための「地産地消」の設計図を描いている。
【参照情報】
公式リリース
In-space 3D printing review (npj Advanced Manufacturing)
https://www.nature.com/articles/s44334-026-00071-2
参照記事
Researchers map in-space 3D printing possibilities using moon dust
https://www.voxelmatters.com/researchers-map-in-space-3d-printing-possibilities-using-moon-dust/