【要点】
IEEE Spectrumは11月25日、宇宙空間向け量子センサー技術、とりわけ冷却原子干渉計が、実験室レベルを超えて実用化の節目に達しつつあると報じた。
この技術は、レーザーによって絶対零度近くまで冷却した原子の量子干渉を利用し、加速度や姿勢変化を極めて高精度に計測できることが特徴である。従来の慣性センサーに不可避だった経時的な誤差(ドリフト)をほぼ排除できるため、GPSなどの外部信号が一切不要となる「完全自律型PNT(測位・航法・時刻)」が実現可能になる。
記事では、GPSが妨害電波やスプーフィングに脆弱であることから、安全保障分野での重要性が急速に高まっていると指摘。また、重力場の微小な変動を検出することで、地下水変動や氷床の動態観測など、気候・環境モニタリングへの応用も期待されるとしている。
課題だった装置のサイズ・重量・消費電力(SWaP)は、レーザー光源、光学系、真空システムの技術革新により大幅に縮小され、衛星搭載可能なレベルに近づいているという。
【編集部コメント】
量子技術が「基礎研究」から「宇宙インフラの中核技術」へと移行しつつあることを象徴する内容である。
特にGPS非依存の自律航法は、ジャミングが常態化する地政学環境において、軍民双方にとって決定的な競争力となる。米国に加え、欧州・中国も量子慣性航法・量子センサーの宇宙実装を国家戦略として推進しており、「宇宙×量子」の主導権争いは今後さらに激化すると見られる。
【出典情報】
参照情報(報道)
IEEE Spectrum:
https://spectrum.ieee.org/quantum-sensors-space
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