【要点】

欧州宇宙機関(ESA)は11月28日、ドイツのブレーメンで開催された閣僚級理事会(CM25)において、「接続性と安全な通信」分野に対し総額21億ユーロを超える投資を行うことを決定した。
本決定は、地政学的課題が高まる中で、欧州の宇宙通信における自律性、強靭性、および産業競争力を確保することを目的とする。
中核となる「ARTES4.0」プログラムでは、光・量子通信技術や宇宙ベースの5G接続に加え、航空交通管理の効率化を目指す「IrisGlobal」などを推進する。
また、EUの主力宇宙プログラムである「IRIS?」に関しては、産業コンソーシアム「SpaceRISE」が主導する多軌道衛星群の開発・検証をESAが支援する方針が確認された。
さらに、月周辺の通信・航法基盤を構築する「Moonlight」プロジェクトへの継続投資も承認され、ESAのローラン・ジャファート局長は、これらの取り組みが欧州のリーダーシップ確立に不可欠であると強調した。

【編集部コメント】

今回の21億ユーロの投資決定は、ESAの次期中期計画における通信分野の戦略的重要性を明確に示すものである。
特に、EU独自の衛星コンステレーション「IRIS?」との連携強化や、量子通信・5Gといった先端技術への大規模投資は、他国への依存脱却と欧州独自の安全な通信インフラ確立に向けた動きの一環と位置付けられる。
また、月面経済を見据えたインフラ整備(Moonlight)が含まれている点は、地球低軌道を超えた領域でのプレゼンス拡大を目指す欧州の長期的視野を示唆している。

【出典情報】

公式リリース
Europe chooses resilient and secure space-enabled connectivity with ?2.1 billion investment:
https://www.esa.int/Applications/Connectivity_and_Secure_Communications/Europe_chooses_resilient_and_secure_space-enabled_connectivity_with_2.1_billion_investment
参照情報(報道)
Science|Business「ESA members agree ?22 billion three-year budget」: なし

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