【要点】
・スティーブンス工科大学のPhilip Chen博士ら研究チームが、宇宙デブリ除去に衛星事業者が費用を分担する制度を導入すべきと提言した
・提案では、運用者から料金を徴収し、アクティブデブリ除去(ADR)事業者に経済的インセンティブを与える枠組みが必要とされる
・政府機関や専門機関が制度設計に関与することで、民間だけでは成立しにくい市場を成立させる必要性が示された
・研究は制御再突入、軌道上リサイクル、投棄軌道への移動という3つの除去シナリオを比較した
・特にアルミニウムなどの金属を軌道上で回収し再利用するリサイクル方式が、長期的に効率的となる可能性があると分析された
・現状の「早い者勝ち」環境では、除去コストが共有されず、デブリ増加が加速するリスクが指摘されている
・研究チームはデブリ除去により得られる便益が総コストを上回るとの試算を示した
・本研究はNASA技術・政策・戦略局(OTPS)の支援を受けて実施された
【編集部コメント】
宇宙デブリ問題は、軌道という共有資源を巡る経済的な非協調状態が本質的な原因とされ、技術だけでは解決できない構造的課題が存在する。今回の研究は、料金徴収やリサイクルを含む経済的仕組みの導入により、デブリ除去を持続可能な事業として成立させる可能性を示した点が重要だ。軌道上製造や再使用技術の進展とも結びつく議論であり、国際ルール形成に向けた議論を促す研究成果といえる。
【出典情報】
公式リリース
Space debris endangers future space missions — but there’s a way to clean it up:
https://www.stevens.edu/news/space-debris-endangers-future-space-missions-but-theres-a-way-to-clean-it-up
参照情報(報道)
SpaceDaily:
https://www.spacedaily.com/reports/Space_operators_urged_to_share_costs_of_clearing_orbital_debris_999.html
Aerospace Testing International:
https://www.aerospacetestinginternational.com/news/research-calls-for-operator-fees-to-pay-for-space-debris-clean-up.html