【要点】
・長春理工大学や吉林大学などの研究チームは、自由空間光通信(FSOC)向けの新しい光学素子を開発し、その成果を発表した。
・開発されたのは、柔軟なポリマー素材(PDMS)の中に炭化ケイ素(SiC)の微細構造を埋め込んだ透過型グレーティングである。
・本素子は機械的に引き伸ばすことで構造の周期を変化させ、光の進行方向を動的に制御する「ビームステアリング」機能を持つ。
・重量わずか$0.4text{グラム}$と極めて軽量ながら、従来の機械式ジンバルと同等の機能を果たし、移動体への搭載負荷を大幅に軽減する。
・225text{メートル}$の屋外伝送実験において、単一の送信機から最大$9つの受信機へ接続するマルチノード通信の実証に成功した。
・各ノードで$10text{Gbps}$の高速通信を達成し、大気乱流による信号劣化の影響下でも安定したリンクを維持できることを確認した。
・報道によると、この技術は将来的に超小型衛星や無人航空機(UAV)間の光ネットワーク構築における基盤技術になると期待されている。
【編集部コメント】
光通信は高速大容量である反面、互いの位置を正確に合わせる「指向性」の制御が難しく、これまでは1対1の固定リンクが主流でした。
本研究成果は、材料自体の物理的伸縮を利用して光を曲げるというシンプルかつ画期的なアプローチで、複雑な駆動装置なしに「1対多」のネットワーク化を可能にしました。
特に重量制限の厳しいマイクロ衛星やドローン群にとって、軽量かつ低コストな光通信網の実現は、戦術データリンクや宇宙インターネットのアーキテクチャを一変させる可能性を秘めています。
【出典情報】
公式リリース
なし
参照情報(報道)
Light: Science & Applications:
https://www.nature.com/articles/s41377-025-02060-0
Bioengineer.org:
https://bioengineer.org/reconfigurable-sic-gratings-enable-portable-optical-networks/