【要点】
・ISROはチャンドラヤーン3の推進モジュール(CH3-PM)が2025年11月6日と11日に月フライバイ(接近通過で軌道・航法のデータを得る運用)を行ったと説明した。
・同ミッションは推進モジュール、ヴィクラム着陸機、プラギャン探査車で構成され、2023年8月23日に月面軟着陸に成功した後、8月17に着陸機が推進モジュールから分離して運用を進めた。
・ISROによると、推進モジュールは2023年10月のTEI(地球遷移投入=月周回から地球側の高高度軌道へ移す軌道変更)後、地球と月の重力の相互作用により2025年11月4日に月の重力圏SOI(天体の重力が支配的になる領域)へ再進入した。
・1回目の最接近は月面から$3,740text{km}$で、インド深宇宙ネットワークIDSN(深宇宙探査機と通信する地上局網)の可視範囲外で実施された。
・2回目の最接近は月面から4,537text{km}$で、IDSNにより追跡され、$11$月$11日$23:18text{UT}$に最接近した。
・フライバイに伴い軌道規模は10万$times 30万text{km}級から40.9万times 72.7万text{km}へ拡大し、軌道傾斜角は34度から22$度へ変化したとISROは公表した。
・推進モジュールは当初約6か月の運用が想定されていたが2年以上後も機体状態は正常で、ISTRAC(衛星の追跡・管制ネットワーク)による監視の下、外乱トルク(姿勢を乱す力)の影響理解など運用・飛行力学の知見が得られた。
【編集部コメント】
チャンドラヤーン3の推進モジュールが想定寿命を超えて運用され、2025年11月の月フライバイで軌道変化や外乱トルクへの理解を深めた点は、探査機の拡張運用の一例である。
深宇宙通信・航法の経験蓄積を通じて、ISROの将来の月ミッション準備の一環として位置付けられる。
【出典情報】
公式リリース
Chandrayaan-3 Fly-by:
https://www.isro.gov.in/Chandrayaan_3_Fly_by.html
参照情報(報道)
The Space Review:
https://www.thespacereview.com/article/5109/1