【要点】
・2025年12月4日公開のプレプリントによると、豪州の大学研究チームが大気中2.4kmの自由空間光通信(空中を光で伝送する通信)で波面誤差を測定し、補正法を報告した。
・研究では参照光と弱い信号光を偏波多重(偏光の違いで同一路を同時伝送)して送り、受信側で両者の歪み差を評価した。
・参照光と信号光の波面歪みが同一という従来の前提に対し、両者の差として相対波面誤差(2本の光が受ける波面の乱れの差)が生じ得ることを実験で示した。
・相対波面誤差の補正には、位相回復(強度などの観測から光の位相を推定する手法)を組み合わせた機械学習モデルを用い、参照光の情報から相対位相誤差を推定する方式を採った。
・報道および論文によると、機械学習による補正で相対位相誤差の分散を最大で3分の2まで低減し、位相誤差を抑制した。
・論文は、連続変数量子鍵配送(CV-QKD:光の連続量を使う量子暗号)で相対波面誤差が過剰雑音(システム由来の追加ノイズ)に影響する点を整理し、補正が有効鍵生成率を1桁規模で改善し得る可能性に言及した。
・2.4km実験ではコヒーレント効率(参照光と信号光の整合度)が約0.98と高く、補正適用による整合度変化は小さいと記載された。
・相対波面誤差の原因は特定できていない一方で、原因の同定を前提としない補正枠組みとして位置付けられている。
【編集部コメント】
自由空間光通信は衛星光通信や量子通信で重要性が増す一方、大気乱流が位相を乱し性能を制約する。
参照光と信号光の歪み差を前提に測定・補正する考え方は、受信側補償の設計指針を具体化する取り組みの一つと位置付けられる。

【出典情報】
公式リリース
Relative Wavefront Error Correction Over a 2.4 km Free-Space Optical Link via Machine Learning
参照情報(報道)
Quantum Zeitgeist