要約】
・NASAのTRACERS(Tandem Reconnection and Cusp Electrodynamics Reconnaissance Satellites)ミッションは、科学データ収集を開始したと発表された
・TRACERSは2機の衛星による「タンデム観測」(連携観測)を特徴としている
・第2機(SV2)は正常に稼働し、初期運用段階を完了している
・第1機(SV1)は電力系の不具合によりバッテリーが機能せず、太陽光を継続的に受ける位置でのみ活動可能な状態である
・この制約に対応するため観測対象を北極から南極上空近傍(磁気カスプ)へ変更したとNASAが説明している
・現在は両機が南極側磁気カスプで連携観測を行い、磁気リコネクションのデータを収集していると報じられている
・磁気リコネクション現象は宇宙天気(太陽風と地球磁場の相互作用)を理解する上で重要なプロセスである
【編集部コメント】
TRACERSミッションは、地球磁場の極域で発生する磁気リコネクションという宇宙天気現象を2機体制で比較観測することで、これまで明らかにされなかった空間・時間スケールの変化を捉える試みである。SV1のバッテリー不具合という運用上の制約が発生したものの、日照条件に配慮した軌道設定変更により南極側磁気カスプでの連携観測を継続している。得られるデータは、太陽風が地球磁場に与える影響の理解向上につながり、宇宙インフラの耐環境設計や宇宙天気予測の精度向上への寄与が期待される。
【出典情報】
公式リリース
[NASA’s TRACERS Spacecraft Begin Preliminary Science Data Collection]:
NASA’s TRACERS Spacecraft Begin Preliminary Science Data Collection
参照情報(報道)
[PRIMETIMER]:
https://www.primetimer.com/features/nasas-tracers-spacecraft-starts-early-science-measurements-in-earth-s-polar-cusp