【要点】
・フランスのプラズマ物理学研究所(LPP)が宇宙空間の帯電粒子(電子・イオン)の流れを測る小型装置「3DCAM」を開発し、製作に3Dプリンティング(積層造形)を用いたと2025/12/18の報道で伝えられた。
・3DCAMはプラズマ(電子とイオンからなる電離気体)を対象に、粒子の密度・エネルギー・速度を短時間で測ることを目的としている。
・従来の宇宙プラズマ観測器は視野が衛星周辺の平面に限られ、電気偏向器(電場で粒子の入射方向を振る装置)などで段階的に走査するため計測に時間を要すると説明され、3DCAMは半球を一度に捉える設計を採った。
・研究チームはドーナツ状の電極・光学構造(複数の輪がかみ合う形状)を採用し、3Dプリントで形状を成立させた上で、選択的金属化(非導電部材の特定部位だけに金属皮膜を形成)により電極を作った。
・研究論文の要旨によると、装置は直径約17cmで瞬時視野は2πステラジアン(立体角の単位で半球に相当)とされ、64方向(64ピクセル)を同時に観測し、数eVから22keVまでの粒子エネルギー域を扱う設計が報告された。
・同要旨では、炭素薄膜(炭素フォイル、低エネルギー粒子を検出器で扱えるよう変換する薄い膜)を用いてイオンと電子を順番に測る方式を、電子線・イオン線で試験したと記載された。
・報道によると、3DCAMは適格モデル(実機搭載を想定した評価用モデル)の環境・機械・熱試験を2026年末までに進め、2028年に低軌道(高度2,000km以下の低い軌道)での軌道上実証を計画している。
【編集部コメント】
衛星運用や航空(極域飛行)に影響する宇宙天気の把握は重要性が増している。3DCAMは半球を短時間で測る設計で、複数センサーや偏向器に依存する従来構成の簡素化を狙う。3Dプリントと選択的金属化を組み合わせた製造手法は、試作から宇宙機搭載へ移行する上でのコスト・重量の制約対応として位置付けられる。
【出典情報】
公式リリース
Compact plasma camera for space missions
A Compact Ion‐Electron Plasma Camera Spectrometer With an Instantaneous Hemispheric Field of View
【参照情報(報道)】
3DPrint.com
Stampare in 3D