【要点】
・3Dプリント(設計データに基づき材料を積み上げて立体を造形する技術)ロケットを開発する米レラティビティ・スペースが、深刻な資金難に陥っていた実態が2025年12月17日に報じられました。
・同社は、Google元CEOのエリック・シュミット氏が最高経営責任者(CEO)に就任するまでに、10億ドル以上の現金を費消したと報じられています。
・創業者ティム・エリス氏が主導した「ロケットの全パーツを3Dプリントする」という当初の構想が、製造の遅延と投資家の不信を招き、資金枯渇の主な原因となりました。
・エリック・シュミット氏は2025年初頭に約8億ドルの追加資金を投じて同社の支配権を取得し、倒産の危機に瀕していた経営状態を救済しました。
・救済後の新たな戦略として、開発中の大型ロケット「テランR(開発中の大型再利用ロケット)」の製造手法を、3Dプリントに依存しない伝統的な金属加工を組み合わせる方式へと転換しました。
・シュミット氏の就任に伴い、共同創業者のティム・エリス氏は日常の経営業務から離れ、現在は取締役の一員として活動を継続しています。
・報道によると、シュミット氏は現在、Google流の福利厚生や高額報酬を提示して優秀な技術者を多数採用し、組織文化の根本的な改革を進めています。
・同社はシュミット氏の構想の下、宇宙空間でのデータセンター(サーバーなどのIT機器を集約して稼働させる拠点)設置という新事業を掲げ、2026年後半のテランR初打ち上げを目指しています。
【編集部コメント】
レラティビティ・スペースの経営危機と経営刷新は、技術的理想と製造実務の乖離を浮き彫りにしました。全3Dプリント構想からの転換は、早期の商用化を優先した現実的な判断と言えます。IT大物による介入が、宇宙開発の製造プロセスや組織文化にどのような変革をもたらすか、新興企業の成長モデルとして注目すべき事例です。
【出典情報】
公式リリース
SES and Relativity Space Collaborate to Accelerate Global Satellite Connectivity in Space
【参照情報(報道)】
Bloomberg
Bloomberg Law