【要点】
・米国の新興企業であるStarcloud(スタークラウド:AI衛星の開発企業)が、Nvidia製GPU(画像処理や膨大な計算を並列で行う装置)のH100を搭載した衛星を軌道上に投入し、運用を開始したことが2025年12月18日に報じられた。
・同衛星は質量60kgで、軌道上でのAI(人工知能)モデル学習に成功しており、これまで理論段階であった「軌道上データセンター(宇宙空間に設置された演算拠点)」の実証例となった。
・SpaceX(スペースX:米国の民間宇宙企業)のCEOであるイーロン・マスク氏は、通信網のStarlink(低軌道の衛星群を用いた通信ネットワーク)と太陽光発電、AI技術を統合した宇宙データセンター構想「Galaxy Mind」を公表している。
・OpenAI(オープンAI:対話型AIなどを開発する企業)のサム・アルトマンCEOも、ロケット開発を行うStoke Space(ストーク・スペース)への出資等を通じ、宇宙での演算基盤確保を検討中である。
・地上でのAI開発に伴う電力消費と排熱の課題を解決するため、太陽光エネルギーが豊富で環境が冷涼な宇宙空間が、新たなインフラ拠点としてシリコンバレーの各社から注目されている。
・Google(グーグル:米国のIT大手)は、2027年までに試験的な軌道上データセンターの打ち上げを計画しており、低軌道(高度2,000km以下の軌道)でのインフラ構築競争が激化している。
・2025年12月18日、米国政府は宇宙における米国の優位性確保を目的とした「宇宙の優位性確保に関する大統領令(大統領が政府機関に下す法的拘束力のある命令)」を署名し、民間インフラの拡大を支援する方針を示した。
・報道によると、主要各社が宇宙進出を加速させる背景には、地上の環境規制や電力網の限界を回避し、AI処理能力を地球外へ拡張する戦略的な狙いがある。
【編集部コメント】
本件は、AI開発に伴う爆発的な電力需要を、地上の環境負荷を抑えつつ解消しようとする構造的な動きの一環として位置付けられる。シリコンバレーの主要な経営者たちが一斉に宇宙への進出を図る背景には、地上の電力網や規制の制約を回避し、かつ宇宙の太陽光資源を直接活用するという戦略的狙いがある。
【出典情報】
公式リリース
ENSURING AMERICAN SPACE SUPERIORITY(The White House)
【参照情報(報道)】
Digitimes
HK Law