【要点】
・米国の宇宙開発企業スペースXが、高度2,000km以下の低軌道(LEO)上に、AI(人工知能)の処理専用となるデータセンターを構築する構想を提示した。
・イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、2025年12月に開催された投資家向け会合において、次世代通信衛星「スターリンク(多数の衛星を連携させた通信網)」に演算機能を統合する計画を述べた。
・地上では天候や夜間に左右される太陽光発電について、宇宙空間であれば24時間連続でエネルギーを確保できるため、AIの学習に必要な膨大な電力を効率的に賄うことが可能になる。
・データセンターの運営で課題となる熱管理については、真空の宇宙空間が備える極低温の環境を活用することで、冷却設備に要するコストとエネルギーを大幅に削減できる利点がある。
・完全再利用型の超大型宇宙船「スターシップ」を輸送手段として活用することで、年間数百ギガワット(1ギガワットは100万キロワット)規模の電力容量を持つ演算拠点を軌道上へ投入する予定である。
・報道によると、この宇宙データセンター事業の収益化見通しは、スペースXが将来検討している株式公開(IPO)における企業価値を8,000億ドル規模まで引き上げる要因になると分析されている。
・地上のデータセンターが直面している電力不足や土地利用の規制を回避し、膨大なデータ計算結果を低コストで地球上へ送信することが事業의最終的な目的である。
・次世代の「スターリンクV3」衛星には、衛星間をレーザーで結ぶ高速通信技術が搭載される予定であり、軌道上での分散型コンピューティング(複数の拠点を繋いだ処理)の実現を目指している。
【編集部コメント】
本件は、地上の環境規制や電力インフラの限界を回避し、AIの計算資源を宇宙空間へ拡張する構造的転換の一環として位置付けられる。データセンターの爆発的な増加がもたらすエネルギー問題に対し、宇宙の太陽光資源と排熱環境を直接活用する試みは、今後の社会インフラのあり方を示す重要な先行事例といえる。
【出典情報】
公式リリース

なし
【参照情報(報道)】
Barron’s
Digitimes