【要点】
・米国の安全保障誌「Global Security Review」は、2025年12月16日、米国の核抑止力を再定義するための最新の提言報告書を公開した。
・報告書は、米国がロシアに加えて中国という二つの核超大国と同時に対峙する「三極核秩序(Tri-polar World)」への移行を最大の脅威として指摘している。
・従来の抑止戦略は現状の脅威に対応できていないとし、中露両国を同時に抑止し、必要に応じて撃破可能な軍事態勢への刷新を求めている。
・宇宙領域の重要性を強調しており、高度2,000km以下の低軌道(LEO)を活用した「強靭な宇宙インフラ(攻撃を受けても機能を維持できるシステム)」の構築を提言した。
・「SDA(宇宙領域把握:人工衛星や宇宙ゴミの状況を監視すること)」を強化し、衛星間レーザー通信などを活用した早期警戒網の整備を優先すべきとしている。
・核兵器の三本柱であるICBM(大陸間弾道ミサイル)、戦略潜水艦、戦略爆撃機の近代化に加え、極超音速兵器などの次世代技術の導入加速を促している。
・宇宙空間における「攻守両面の能力」を開発することが、核先制攻撃の抑止や戦域での優位性を維持するために不可欠であると分析している。
・報道によると、この提言は2026年に予定される米国の次期「核態勢見直し(NPR:核兵器の役割や基本方針を定める政府文書)」の議論に反映される見通しである。
【編集部コメント】
本報告書は、冷戦期の二極構造が終焉し、中国の急速な核軍拡により安全保障環境が根本的に変容したことを示している。特に宇宙を核抑止の成否を分ける重要領域と定義し、監視・防御のみならず攻撃能力の整備まで求めている点が特徴的である。これは、米国の国防投資が宇宙領域にさらに傾斜する背景を構造的に整理した内容といえる。
【出典情報】
公式リリース
Peace Through Strength: Renewing America’s Nuclear Deterrent
【参照情報(報道)】
Global Security Review
Atlantic Council