【要点】
・市場調査会社DataM Intelligenceは2025年12月24日、日本の宇宙推進市場について2025〜2032年の見通しを発表した。
・発表によると対象は宇宙機や打上げ機の推進系で、軌道投入や軌道変更に使う推進装置・関連部品を含むとしている。
・発表は成長局面が予測期間後半で加速し得る要因として、衛星コンステレーション(多数の小型衛星を連携運用する方式)や技術更新、軌道上サービス(宇宙空間で点検・補給・移動を行う概念)の進展を挙げた。
・成長要因としてJAXAなどの研究開発・試験・実証への継続投資と、地球観測・通信・測位衛星の需要拡大を挙げ、軌道保持(定位置を保つ運用)やデオービット(運用後に軌道を下げ大気圏再突入させる)用途の推進需要が増えるとした。
・推進方式では電気推進(電気で推進剤を加速して噴射する方式)へのシフトを示し、イオンスラスタ(イオン化した推進剤を加速)やホールスラスタ(電磁場でイオンを加速)の採用が小型衛星で進むとした。
・技術トレンドとして、高出力の電気推進による軌道遷移(軌道を変えて目的軌道へ移る)や深宇宙ミッション対応、グリーン推進剤(安全性と環境負荷低減を狙う推進剤)の研究、モジュール化による組み込み容易化を挙げた。
・競争環境の主要な参加主体として、三菱重工業、IHIエアロスペース、JAXAを挙げ、産官連携が開発リスク低減と商用化の加速に関与するとした。
・課題として研究開発・認定試験コスト、計画期間の長期化、米欧サプライヤーとの競争、先端材料・電子部品の供給網リスク、次世代推進の技術リスクを挙げた。
【編集部コメント】
衛星の大量配備や軌道上サービスの検討拡大により、推進系は衛星運用コストと寿命を左右する中核技術として位置付けられる。一方で認定試験や材料・電子部品の調達負担が大きく、試験設備の整備や標準化を含む産官の役割分担が市場形成ের前提になる。国内の高信頼製造を強みに、電気推進と安全性配慮型推進剤の両輪で用途拡大に備える構図が示された。
【出典情報】
公式リリース
Space Propulsion Market Size, Share Analysis, Growth Insights and Forecast 2025-2032
The Potential of Ion Engines

参照情報(報道)
openPR