【要点】
・米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームが、宇宙空間で平板から曲面へ自律的に形状変化する複合材料(繊維と樹脂を組み合わせた材料)の手法を報告した。
・報道によると、炭素繊維を用いた複合材を積層造形(3Dプリント)で平らに作り、加熱刺激で衛星部材のような曲面形状へ成形する設計を示した。
・成形の鍵として、フロンタル重合(樹脂の硬化反応が前線のように進む方式)を用い、従来の複合材成形で使われる大型オーブンやオートクレーブを不要にする省エネルギー化を狙ったとされる。
・平板の段階で形状変化の“プログラム”を組み込み、切り込みや配置で変形を誘導する設計概念(切り紙に着想した設計)を応用したと説明されている。
・報道によると、同手法で5種類の形状に成形できることを示し、打上げ時は平板で収納し軌道上で所要形状へ展開する考え方を提示した。
・一般に樹脂系の3Dプリント部材は剛性不足が課題になり得るため、高剛性が期待できる炭素繊維複合材を軌道上製造に結び付ける狙いがあるとされる。
・研究成果は学術誌Additive Manufacturing(積層造形分野の学術誌)での論文として整理されている。
【編集部コメント】
軌道上での構造物製造は、打上げ時の体積制約を緩和する手段として位置付けられる。一方で複合材の成形は大型加熱設備を要する場合が多く、低エネルギーで成形できる手法は宇宙での製造実証を進める要素技術になり得る。
【出典情報】
公式リリース
Morphing 3D-printed structures from flat to curved, in space
Rapid forming of programmable shaped morphogenic composite through additive manufacturing and frontal polymerization(Additive Manufacturing, DOI:10.1016/j.addma.2025.104911)
参照情報(報道)
VoxelMatters