【要点】
・サウジアラビア宇宙庁(SSA:Saudi Space Agency)は2025年12月29日、国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)において軟骨修復用のナノ材料を世界で初めて製造したと発表した。
・この成果は2023年に実施された有人宇宙飛行ミッション「SSA-HSF1」において実施された19件の科学実験の一つに基づいている。
・サウジアラビア人宇宙飛行士のライヤナ・バルナウィ(Rayyanah Barnawi)氏が実験に参加し、微小重力環境下でのデータ収集と製造プロセスを担当した。
・本プロジェクトは、ユーペン・チェン(Yupeng Chen)氏とマリ・アン・スノー(Mari Anne Snow)氏が主導する国際共同研究チームによって実施された。
・微小重力環境での製造により、地球上での製造と比較して精度、品質、および製造効率が大幅に向上することが実証された。
・本研究の成果は、2025年7月に世界的な科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載され、国際的な評価を得ている。
・製造されたナノ材料は、再生医療における組織修復や臓器移植といった地球上の高度医療技術への応用が期待されている。
・宇宙庁は、有人宇宙探査を通じて得られる科学的成果を最大化し、自国の宇宙経済と医療分野の発展を促進する方針を強調した。
【編集部コメント】
サウジアラビアは国家戦略「ビジョン2030(Vision2030)」の下、宇宙分野を将来の経済成長を支える戦略的柱と位置付けている。今回の成果は、宇宙空間の微小重力という特殊な環境を「高度な製造拠点」として活用する可能性を示したものであり、バイオテクノロジーと材料科学の融合による新産業創出の一環として位置付けられる。宇宙探査の成果を地球上の医療課題の解決に直結させることで、国際的な競争力の強化と、石油依存からの脱却を目指す産業多角化を加速させる狙いがある。
【出典情報】
公式リリース
Saudi Space Agency 2025
参照情報(報道)
Arab News
Saudi Gazette