【要点】

・ワシントン州のスタートアップ企業スタークラウド(Starcloud)は、軌道上の衛星内で人工知能(AI:Artificial Intelligence)モデルの学習と推論に成功した。
・本実証実験には、NVIDIA(エヌビディア)製の高性能GPU「H100」を搭載した衛星「スタークラウド1(Starcloud-1)」が使用された。
・衛星内では、OpenAI(オープンエーアイ)の元共同創設者アンドレイ・カーパシー(Andrej Karpathy)氏が開発した軽量AIモデル「NanoGPT(ナノGPT)」の学習が行われた。
・学習用データセットにはウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)の全著作が使用され、軌道上での学習完了後にテキスト生成の推論が実行された。
・同時に、Google(グーグル)のオープンモデル「Gemma(ジェマ)」を用いたチャットボット機能の推論動作も確認された。
・宇宙空間で「H100」級の高出力GPUが運用されたのは世界初であり、従来の宇宙用プロセッサの約100倍の計算能力を実現している。
・本成果は、電力消費や冷却負荷が課題となっている地上データセンターの機能を、宇宙の太陽光エネルギーで代替する「軌道上データセンター」構想の実現性を証明した。
・同社は今後、複数のH100や次世代「Blackwell(ブラックウェル)」プラットフォームを搭載した次号機の打ち上げを2026年10月に予定している。

【編集部コメント】

今回の成果は、単なる実験の成功に留まらず、宇宙を「データの生成場所」から「データの処理拠点」へと変革させる一環として位置付けられる。従来、宇宙用ハードウェアは放射線対策のために数世代前の性能に抑えられてきたが、最新の民生用ハイエンドGPUを軌道上で安定稼働させた意義は大きい。これは、地上でのエネルギー制約を回避しつつ、衛星データのリアルタイム解析や、膨大な計算資源を宇宙に求める新しいデータインフラ産業の幕開けを示唆している。

【出典情報】

公式リリース
Philip Johnston(Starcloud)X投稿(We just trained the first LLM in space using an NVIDIA H100 on Starcloud-1!)

参照情報(報道)
Popular Mechanics