【要点】

・NASAは、有人月周回ミッション「アルテミス2(Artemis II)」の準備状況の中で、オリオン(Orion)宇宙船の熱防護(熱遮蔽板)に関する評価結果を改めて説明した。
・無人試験「アルテミス1(Artemis I)」の地球再突入では、熱防護材アブコート(Avcoat)に想定外の損耗が確認され、NASAは原因究明を進めてきた。
・NASAは調査の結果、材料内部で発生したガスが十分に放出されず内部圧力が高まったことが、割れや欠落につながったとの結論を示している。
・アルテミス2では、すでに取り付け済みの熱遮蔽板をそのまま使用する方針とし、再突入時の飛行経路(再突入プロファイル)を調整することで安全余裕を確保すると説明している。
・一方、報道では、外部の元宇宙飛行士や専門家の一部が、残留リスクの扱いについて懸念を示している。
・NASAは、解析と試験を重ねた結果として「乗員の安全は確保できる」との判断を維持している。
・アルテミス2には4人の宇宙飛行士が搭乗し、月周辺を飛行することで深宇宙における有人運用能力を実証する計画である。
・この判断は、後続ミッションに向けた設計・製造面での改善(将来機における熱防護材の均一性やガス透過性の向上)と並行して進められている。

【編集部コメント】

熱遮蔽板は再突入時の安全性を左右する中核要素であり、アルテミス1で確認された想定外の挙動を踏まえた評価の妥当性が重要な論点となっている。NASAは飛行経路の調整によって安全余裕を確保すると説明しているが、有人ミッションである以上、技術的判断の根拠とリスク評価をどこまで透明に示せるかが、計画全体への信頼性を左右するといえる。

【出典情報】

公式リリース
NASA Shares Orion Heat Shield Findings, Updates Artemis Moon Missions(NASA)
https://www.nasa.gov/news-release/nasa-shares-orion-heat-shield-findings-updates-artemis-moon-missions/

参照情報(報道)
NASA’s Artemis II Mission Faces Heat Shield Concerns but Assures Crew Safety(Mezha Media)
https://mezha.net/eng/bukvy/nasa-s-artemis-ii-mission-faces-heat-shield-concerns-but-assures-crew-safety/

Experts Warn That There’s Something Wrong With the Moon Rocket NASA Is About to Launch With Astronauts Aboard(Futurism)
https://futurism.com/space/experts-warn-moon-rocket-nasa-heat-shield