【要点】
・米国家偵察局(NRO)は、長らく謎に包まれていた冷戦時代の信号諜報(SIGINT)衛星プログラム「Jumpseat(ジャンプシート)」の詳細を公式に機密解除した。
・Jumpseat(別名:AFP-711)は、1971年から1987年にかけてタイタンIIIBロケットで計8回打ち上げられた、第一世代の高長楕円軌道(HEO)信号収集衛星である。
・同衛星は、ソ連の北極圏上空に長時間滞在できる「モルニヤ軌道」を利用し、ソ連軍の弾道ミサイル警戒レーダーや対空ミサイルのテレメトリー信号(FISINT)、通信(COMINT)を傍受することを主任務としていた。
・機密解除された資料によると、製造はヒューズ社(Hughes)が担当し、同社の通信衛星Intelsat-4と同様のスピン安定方式のバスが採用されていたことが判明した。
・NROは今回の公表理由について、「現在および将来の衛星システムに害を及ぼすことはない」とし、HEOにおける信号収集のパイオニアとしての歴史的意義を強調している。
・Jumpseatの任務は2006年まで続けられたとされ、その後継は「Trumpet(トランペット)」と呼ばれる衛星シリーズであると推測されている。
【編集部コメント】
アマチュア観測家の間では長年その存在が囁かれてきた「Jumpseat」が、ついに公式に認められた。
HEO(モルニヤ軌道)を使うことで、静止軌道からは見えにくい高緯度地域(ソ連北部)の軍事施設をピンポイントで監視し続けた「宇宙の盗聴器」である。
現代ではStarlinkのような低軌道メガコンステレーションが同様の機能を持ちつつあるが、その基礎を築いたシステムの全貌が明らかになった意義は大きい。
【出典情報】
公式リリース Declassifying JUMPSEAT: an American pioneer in space (National Reconnaissance Office) https://www.nro.gov/news-media-featured-stories/news-media-archive/News-Article/Article/4392223/declassifying-jumpseat-an-american-pioneer-in-space/
参照情報(報道) US NRO declassifies secrets of Cold War-era spy satellite (Space Connect) https://www.spaceconnectonline.com.au/satellites/6933-us-nro-declassifies-secrets-of-cold-war-era-spy-satellite