【要点】

・NASAのジェット推進研究所(JPL)は2026年1月、海洋デブリを宇宙から検出するための基盤技術開発の成果を発表した
・国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された観測装置「EMIT」は、すでに陸上のプラスチックごみの集積を識別することに成功している
・EMITは「イメージング分光法」を用いており、物質が光を反射する際の固有の波長パターン(スペクトル指紋)を読み取る技術である
・しかし、海上では海水が赤外線を吸収してしまうため、浮遊するプラスチックの識別は陸上よりも技術的に困難であった
・この課題に対し、JPLのチームは約25,000件に及ぶ海洋漂着物のスペクトルデータを網羅した「オープンソースライブラリ」を作成した
・ライブラリには、ペットボトル、タイヤ、ロープ、ブイなど19種類の異なるポリマー素材が含まれ、劣化状態による変化も記録されている
・このデータをAI(人工知能)に学習させることで、衛星画像から海洋ゴミの微細なシグナルを自動検出するアルゴリズムの開発が可能になる
・将来的には、海流に乗って数千マイル移動するゴミの発生源特定や、効率的な回収活動の支援に役立つと期待されている

【編集部コメント】

本研究は、宇宙技術を地球環境保護に直接応用する「アース・インテリジェンス」の好例である。EMITは元々鉱物分布を調べる目的で打ち上げられたが、その分光能力がプラスチック検知にも有効であることが判明し、用途が拡大した点は興味深い。陸上からの流出源を「宇宙の目」で特定できれば、海洋汚染対策の政策立案に強力なエビデンスを提供することになるだろう。

【出典情報】

公式リリース:JPL「How NASA Is Homing in From Space on Ocean Debris」
https://www.jpl.nasa.gov/news/how-nasa-is-homing-in-from-space-on-ocean-debris/

参照情報(報道):SpaceDaily「NASA advances space-based tracking of marine debris」
https://www.spacedaily.com/reports/NASA_advances_space_based_tracking_of_marine_debris_999.html