【要点】

・中国の主要宇宙開発企業である中国航天科技集団(CASC)は、今後5年間で宇宙設置型のAIデータセンターを打ち上げる計画を明らかにした。
・CASCは、2030年までに「ギガワット級の宇宙デジタル知能インフラ(Space Cloud)」を構築することを目指している。
・地上のデータセンターが抱える「膨大な電力消費」と「冷却コスト」の課題を、宇宙での太陽光発電と放射冷却の活用によって克服する狙いがある。
・成都の民間宇宙企業ADASpaceは、2,800基の衛星で構成される空間計算ネットワーク「Star-Compute」計画を掲げている。
・ADASpaceは、アリババの大型言語モデル(LLM)「Qwen-3」を軌道上の計算センターで動作させる実証を行ったとされる。
・本計画は、SpaceXが申請した「100万基のデータセンター衛星」構想に対する直接的な対抗措置と見なされており、宇宙空間におけるデータ主権と計算能力の優位性を巡る競争が鮮明になっている。
・この戦略を支える動きとして、中国科学院大学(UCAS)は2026年1月27日、宇宙探査分野の人材育成を目的とする「School of Space Exploration」を開設した。

【編集部コメント】

中国のこの動きは、宇宙を単なる「観測の場」から「データの加工・処理拠点」へと変えるパラダイムシフトを狙ったものです。地上のエネルギー制約から解放された「スペース・クラウド」が実現すれば、AIの計算コストが劇的に下がり、軍事・商業の両面で決定的な優位に立つ可能性があります。スペースXが再利用型ロケットで「輸送」を支配しようとする中、中国は「計算能力」という新たなレイヤーで宇宙の覇権を握ろうとしています。

【出典情報】

公式リリース:なし

参照情報(報道)
・China Daily「Chinese aerospace firm unveils massive space computing plan」
https://global.chinadaily.com.cn/a/202601/28/WS697acee6a310d6866eb3663f.html

・The Morning News「China Plans Orbital AI Centres, Challenging SpaceX」
https://themorningnews.com/news/2026/01/30/china-plans-orbital-ai-centres-challenging-spacex/

・China Daily「China’s new space exploration school eyes future interstellar travel」
https://www.chinadaily.com.cn/a/202601/27/WS697819b0a310d6866eb35e9a.html