【要点】
・欧州委員会(EC)が、将来の「地球観測政府サービス(EOGS)」プログラムの要件確定に数ヶ月の追加期間を要する見通しとなった。・EOGSは、2028年開始の次期中期財政枠組み(MFF)において、加盟国の政府機関向けに高度な衛星データ提供を目指す重要プログラムである。・現在は、セキュリティや防衛分野のユーザーが求める具体的な運用ニーズや、技術仕様の最終的な精査が行われている。・欧州の宇宙政策担当者は、各国が独自に進める国家プロジェクトにより、欧州全体の取り組みが断片化(フラグメンテーション)することに懸念を示している。・欧州宇宙機関(ESA)が主導する「欧州宇宙レジリエンス(ERS)」プログラムが、EOGSの実現に向けた技術的先行フェーズとして機能している。・民間企業側からは、ICEYEによる1,000機規模の「Constellation Europe」提案など、民間能力を政府サービスに統合するよう求める声が上がっている。・本サービスは、気候変動への適応、災害対応、軍事インテリジェンスの強化など、欧州の戦略的自律性を支えるインフラとして期待されている。・要件確定の完了後、正式な入札プロセスや開発段階へ移行し、欧州独自の自律的な衛星観測体制の構築を目指す計画である。
【編集部コメント】
欧州が計画するEOGSは、既存のコペルニクス計画を補完し、より機密性の高い政府・安全保障ニーズに特化した「官民連携」の要となるプロジェクトです。今回、要件確定に慎重な姿勢を示した背景には、加盟国間の利害調整に加え、急速に進化する民間企業の地球観測能力をいかに効率的に統合するかという戦略的判断があると見られます。米国の商業衛星市場への依存を脱却し、欧州が真の宇宙主権を確保できるか、次期予算案の公表に向けた正念場と言えるでしょう。
【出典情報】
公式リリースEurope turns to space to boost resilience参照情報(報道)アビエーションウィークcopernicus.eu