【要点】
・欧州宇宙機関(European Space Agency/ESA)が支援する新たな研究プロジェクトにおいて、月のレゴリス(土壌)を3Dプリンティング用の導電性材料に変換し、月面で電子回路やシステムを直接製造する技術の実証が開始された。
・本プロジェクトは、デンマーク技術研究所(Danish Technological Institute:DTI)が主導し、英国の材料企業メタライシス(Metalysis)がパートナーとして参加している。予算規模は15万5,000ユーロ(約2,500万円)。
・メタライシスは、レゴリスから酸素を抽出する電気化学プロセス(FFC法)を保有しており、この過程で副産物として残る金属合金の混合物が導電性を持つことに着目。これを微粉砕して3Dプリント用のインクや粉末に加工する。
・DTIはこの材料を用いて、将来的に月面で太陽光パネルの配線やセンサー、通信機器の部品などを印刷製造することを目指しており、地球からの補給に頼らない持続可能な月面探査(現地資源利用:In-Situ Resource Utilization/ISRU)の実現に貢献すると期待されている。
【編集部コメント】
月の砂から酸素を取り出す研究は以前から進んでいましたが、その残った金属を廃棄せず、電子回路用インクとして再利用しようという発想が秀逸です。
これまで月のISRUは建材利用が中心でしたが、精密機器の現地製造が可能になれば、月面基地の自己修復能力は飛躍的に向上します。
【出典情報】
参照情報(報道)
ESA project explores turning lunar soil into conductive 3D printing material(TCT Magazine)
https://www.tctmagazine.com/esa-project-explores-turning-lunar-soil-into-conductive-3d-printing-material/
Researchers turn lunar soil into moon-made electronics(3D Printing Industry)
https://3dprintingindustry.com/news/researchers-turn-lunar-soil-into-moon-made-electronics-248339/