【要点】

・NASAが長年蓄積した熱防御システム(TPS)技術が、米国の宇宙産業を支える基盤となっている。
・TPSとは、大気圏再突入時の高温から機体や搭載物を保護するための材料・設計・試験技術を指す。
・NASAが開発した耐熱材C-PICA(Conformal Phenolic Impregnated Carbon Ablator)は、民間企業Varda Space Industriesにライセンス供与された。
・VardaはC-PICAを用いた自社製熱シールドにより、W-5カプセルの再突入・帰還を実現した。
・NASAは技術移転に加え、Flight Opportunitiesプログラムを通じた飛行データ取得などで本取り組みを支援した。
・NASAはVardaを2023年のTipping Point選定により支援し、C-PICAの製造・飛行試験の促進を後押しした。
・C-PICAは他企業にもライセンスされており、民間側での製造・供給拡大を通じて分野横断の宇宙利用を支える。
・熱シールド技術の普及は、軌道上製造などの成果物を安全に地上へ回収する産業基盤の拡充につながる。

【編集部コメント】

NASAの熱防御技術は、単なる一機関の研究成果に留まらず、米国の宇宙産業界全体における強力な競争力の源泉となっている。高度な参入障壁であった耐熱材料の技術を民間が活用可能にすることで、開発コストの抑制と信頼性の飛躍的な向上を同時に実現した。官民の技術循環が、次世代の宇宙経済圏構築を後押しする大きな原動力といえる。

【出典情報】

公式リリース
NASA – NASA Heat Shield Tech Contributes to America’s Space Industry
https://www.nasa.gov/image-article/nasa-heat-shield-tech-contributes-to-americas-space-industry/

参照情報(報道)
Mirage News – NASA Heat Shield Boosts U.S. Space Industry
https://www.miragenews.com/nasa-heat-shield-boosts-us-space-industry-1613875/