【要点】

・ロシア国営宇宙企業Roscosmosは2026年2月、重対地同期軌道への輸送を担ってきたProton-Mロケットの最終ミッションをバイコヌール宇宙基地で実施した。
・今回の打ち上げには、上段キックモーターとしてBlock DM-03が使用され、指定の軌道投入に成功した。
・Protonシリーズは1960年代の導入以来、ソ連およびロシアの主力大型ロケットとして、宇宙ステーションのモジュールや商用衛星の打ち上げに貢献してきた。
・本機は高い打ち上げ能力を持つ一方で、燃料に使用される非対称ジメチルヒドラジンの毒性による環境負荷が課題とされていた。
・今回の運用終了に伴い、ロシアの次世代主力大型ロケットとしての役割は、環境に配慮した燃料を使用するAngara A5へと完全に引き継がれる。
・Angara A5はプセツク宇宙基地およびボストチヌイ宇宙基地からの運用を前提としており、ロシア国内からの自立的な宇宙アクセスを強化する。
・報道によると、Proton-Mの退役は、ロシア宇宙産業における製造ラインの近代化とコスト効率の改善を図る構造改革の一環である。
・Roscosmosは今後、Angaraシリーズの量産体制を確立し、重重量物打ち上げ市場における競争力の維持を目指す。

【編集部コメント】

Proton-Mの退役は、一つの時代の終焉とロシア宇宙戦略の転換を象徴している。長年、世界の大型衛星打ち上げ市場で高い信頼性を誇ったProtonだが、環境規制や地政学的リスク、そしてAngara A5への世代交代という潮流には抗えなかった。今後はボストチヌイ基地を拠点とするAngara体制への移行が焦点となる。再使用型ロケットが台頭するグローバル市場において、使い捨て型であるAngaraがどこまでコスト競争力を示せるかが、ロシア宇宙産業の将来的なビジネス基盤を左右することになるだろう。

【出典情報】

公式リリース
Госкосмиссия допустила ракету-носитель «Протон-М» к заправке топливом(Roscosmos)
https://t.me/roscosmos_gk/19257
参照情報(報道)
Roscosmos Launches Last Proton With DM-03 Booster(Aviation Week)
https://aviationweek.com/space/launch-vehicles-propulsion/roscosmos-launches-last-proton-dm-03-booster
Proton-M launches Elektro-L No.5 on its final mission with Blok-DM upper stage(NASASpaceflight)
https://www.nasaspaceflight.com/2026/02/elektro-l-no5-launch/