【要点】
・宇宙スタートアップのPale Blueは2026年2月、水を用いた独自の推進システムを搭載した小型衛星の軌道上動作実証に成功した。
・本ミッションは、低コストかつ持続可能な宇宙探査・運用を実現するための次世代推進技術の検証を目的とする。
・水推進システムは、太陽電池からの電力で水を電気分解して水素と酸素を生成し、それを燃料として噴射する仕組みを採用している。
・従来の毒性の高い化学燃料(ヒドラジン等)や高価なキセノンガスと比較し、安全性とコスト効率に極めて優れる点が特徴である。
・報道によると、軌道上でのスラスタ噴射により、衛星の高度維持および姿勢制御が計画通りに行われたことを確認した。
・水は宇宙空間で凍結せず液体状態で保存可能な独自の熱管理技術を導入し、打ち上げ時の環境負荷と爆発リスクを最小限に抑えている。
・今後は、超小型衛星から大型の宇宙輸送機まで幅広いプラットフォームへの技術提供および商用展開を加速させる方針である。
・水推進技術は、将来的な月や小惑星での水資源活用(ISR:現地資源利用)を見据えた宇宙インフラ構築の基盤技術として期待される。
【編集部コメント】
Pale Blueによる水推進システムの成功は、小型衛星市場の経済合理性を根本から変える可能性を秘めている。毒性燃料を排除することで、打ち上げまでの地上運用コストを大幅に削減し、複数機を同時に運用するコンステレーションの構築を加速させる。また、キセノンのような希少ガスに依存しない戦略は、地政学的リスクに左右されないサプライチェーンの安定化にも寄与する。本技術は単なる代替エンジンに留まらず、宇宙空間における資源循環型ビジネスモデルの確立に向けた、極めて実効性の高い一歩として評価されるべきである。
【出典情報】
公式リリース
Pale Blue Commences Operations at “Tsukuba Production Engineering Base” for Mass Production of Propulsion Systems(Pale Blue Inc.)
https://pale-blue.co.jp/news/1343/
参照情報(報道)
Satellite using water-powered propulsion system(Interesting Engineering)
https://interestingengineering.com/space/satellite-using-water-powered-propulsion-system
Pale Blue、推進機の量産に向けた「つくば生産技術開発拠点」を稼働開始(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000055668.html