【要点】
・英国のスタートアップ企業Deep Space Energyは2026年2月、欧州における宇宙用核動力源(SNPS)の開発加速を目的として98万ユーロの資金を調達した。
・本資金は、英国宇宙局(UKSA)による「宇宙放射線同位体パワー・プログラム」の一環として交付されたものである。
・深宇宙探査や月面拠点での長期運用において、太陽光発電が困難な環境下での持続可能な電力供給手段の確立を目指す。
・同社は、アメリシウム241(Am-241)などの放射性同位体を利用した放射性同位体熱電気転換器(RTG)の技術開発に特化している。
・欧州宇宙機関(ESA)が進める、ロシアや米国に依存しない独自の宇宙エネルギー供給体制の構築に向けた戦略的なプロジェクトと位置づけられる。
・報道によると、得られた資金は試作機の設計最適化および地上での熱効率検証試験に充当される。
・アメリシウム241は既存の核燃料再処理プロセスから抽出可能であり、長寿命かつ安定した熱源として期待されている。
・本技術の実用化により、極低温となる月の夜間や外惑星探査における宇宙機の生存率および運用能力の劇的な向上が見込まれる。
【編集部コメント】
Deep Space Energyによる今回の資金調達は、欧州が有人月面探査や深宇宙進出を見据え、エネルギーの自立化を最優先課題に掲げている実態を如実に示している。これまで宇宙用核動力源は米露の独占状態にあったが、アメリシウムを活用した独自技術の進展は、欧州の宇宙政策における戦略的自律性を担保する鍵となるだろう。特に月の夜間運用や日影地域での活動において、重量対出力比に優れた核動力は代替不可能なインフラであり、同社の動向は今後の欧州製宇宙プラットフォームの仕様を決定付ける技術的ターニングポイントになると予測される。
【出典情報】
公式リリース
Deep Space Energy Pockets €980K to Build European Space Nuclear Power(Payload)
https://payloadspace.com/deep-space-energy-pockets-e980k-to-build-european-space-nuclear-power/
参照情報(報道)
Deep Space Energy raises $1.1M to generate electricity on the moon(SiliconANGLE)
https://siliconangle.com/2026/02/12/deep-space-energy-raises-1-1m-generate-electricity-moon/