要点
- ダッソー航空とOHBは2026年5月11日、欧州宇宙機関(ESA)に対し、宇宙ステーションへの往復輸送と自律的な軌道上フリーフライヤー任務をこなす多目的再使用型スペースプレーン「VORTEX-S」を共同提案すると発表した。
- ダッソー航空はVORTEX-Sの主アーキテクトおよびスペースプレーン全体インテグレーターを務め、OHBはサービスモジュールの設計と統合を担当する。
- コンソーシアム拡大に向けて他の欧州宇宙企業との協議も並行して進めている。
- 仏独連携は、欧州の再使用型宇宙輸送への戦略ニーズに応え、宇宙モビリティでの欧州自律性を高める枠組みとして提示されている。
- ダッソー航空のエリック・トラピエ会長兼CEOはOHBとの提携を自然な組み合わせと位置づけ、OHBのマルコ・フュックスCEOは両社が持つファミリーオーナー型ハイテク企業としての性格と、航空機メーカー・宇宙企業として補完的な強みを強調した。
- OHBは宇宙システム、Access to Space、デジタルの3本柱で約4000人を擁する欧州主要宇宙システム供給企業の一つとされる。
- VORTEX-Sは宇宙輸送、探査、軌道上ロジスティクスの交差点で運用される位置づけだ。
- 本提案は2026年5月11日付のダッソー航空プレス資料で初めて公表され、5月22日以降に広範なメディア報道が続いた。
編集部コメント
欧州再使用型スペースプレーン構想は1980年代のHermesや2010年代のIXV実証に遡る長い歴史を持つが、2024年にESAがThe Exploration CompanyとThales Alenia Spaceを選定したCargo Return Service枠組みのように、競争入札型調達への移行で政策環境は決定的に変わった。ダッソー航空はnEUROn無人実証機を含む戦闘機系譜とHermes時代の検討経験を持ち込み、OHBはGalileo FOC契約を含む衛星プラットフォーム・サービスモジュール統合の数十年の実績を持つ。ESAにとっての戦略課題は、貨物帰還の後継として再使用型クルー輸送を独自に追求するか、ISS後を見据えた商業宇宙ステーションを含むLEO有人輸送を欧州外パートナーに依存し続けるかの選択である。仏独の産業ペアリングは、ESA最大拠出2か国がフラッグシップ輸送プログラムでアンカー役を担い続けることの政治的重要性も示している。
参照情報
一次情報(公式リリース、公式発表、PRサイト等)
Dassault AviationとOHB、ESAに多目的宇宙機「VORTEX-S」を共同提案(公式)
参照記事
Dassault AviationとOHB、再使用型宇宙機計画を発表