要点
  • ベルギーのハッセルト大学のYarne Beerden氏らは、ダイヤモンドベースの量子磁力計「OSCAR-QUBE」を国際宇宙ステーション(ISS)に10カ月間搭載し、地球磁場の精密モニタリングに成功したとする査読論文を2026年5月11日付『Physical Review Applied』で公表した。
  • 装置の質量はわずか420g、寸法は1辺10cmの立方体に収まり、消費電力は5W程度に抑えられているにもかかわらず、ISS通過時の地球磁場の有意な変動を追えるレベルの感度を達成した。
  • 本センサーは、ダイヤモンド結晶中で窒素原子が炭素欠陥隣に位置する原子レベルの欠陥「窒素-空孔(NV)中心」を利用しており、磁場感度が極めて高く、放射線・温度サイクル・機械応力に対する耐性も宇宙環境に適している。
  • レーザーをダイヤモンドに照射し、NV中心の量子状態の応答を読み取ることで、磁場の強度と方向を推定する。
  • 本研究は、従来主流のフラックスゲート磁力計が抱える温度変動によるドリフト、再校正を要する経年劣化、宇宙機自身の電磁干渉などの性能限界を直接的に置き換える候補となる。
  • 10カ月間にわたるLEO運用は、NV中心型磁力計が典型的な軌道放射線・温度環境で安定動作することを実証する内容となっている。
  • 応用領域は宇宙機の姿勢基準、宇宙天気・電離層モニタリング、航法、地磁気研究など広範に及ぶ。
  • 同チームは、量子センシングが実験室実証段階から運用級の宇宙機計測へと成熟した段階を示す結果と位置づけている。
参照情報
一次情報(公式リリース、公式発表、PRサイト等)
ISS搭載のダイヤモンド量子磁気センサー(OSCAR-QUBE)が地球磁場マッピングに成功(Phys.org/APS)

https://phys.org/news/2026-05-resilient-quantum-sensor-earth-magnetic.html

参照記事
グレープフルーツ大の量子センサー、宇宙から地球磁場をマッピングに成功

https://thequantuminsider.com/2026/05/11/grapefruit-sized-quantum-sensor-mapped-earths-magnetic-field-from-space/

参照記事
堅牢な量子センサー、宇宙から10カ月間地球磁場を観測

https://phys.org/news/2026-05-resilient-quantum-sensor-earth-magnetic.html