要点
  • NASAは2026年5月14日、米エネルギー省管轄のNational Laboratory of the Rockies(NLR)の研究者と産業パートナーKULR Technology Groupに対し、リチウムイオン電池の内部短絡デバイス(ISC-D)開発で2025年の「NASA Invention of the Year」を授与した旨を発表した。
  • 直近にArtemis IIによる有人月周回飛行で、リチウムイオン電池が10日間の通信、航法、推進、熱制御を支えた経緯があり、その安全性検証にもNLR-KULRの取り組みが反映されていた。
  • ISC-Dはリチウムイオンセル内部に意図的・再現可能な短絡トリガを実装する手法で、釘刺し、過熱、圧潰など外部濫用試験では再現できなかった、微細な製造欠陥に起因する熱暴走モードを実験室レベルで再現できる。
  • 内部短絡が生じると発熱が隣接セルへ波及する可能性があり、制御された条件下でこの挙動を起こして特性評価する能力は、宇宙電池認定の長年のギャップだった。
  • NASAジョンソン宇宙センターの元バッテリー技術系統リードEric Darcy氏は、ISC-Dトリガセルが米国の有人ミッション向け電池試験キャンペーンで標準手法となっていると述べた。
  • 本受賞は、NLRがNASAと10年以上にわたって続けてきたリチウムイオン安全研究の節目を示し、エネルギー省国立研究所の研究成果が商用宇宙認定ツールへと移転される好例となる。
  • KULR Technology GroupはISC-Dを核とする商用製品ラインを展開しており、宇宙のみならずより広いバッテリー産業でも採用が進む。
  • 今回の受賞により、Artemisを含む有人ミッション向けのリチウムイオン電池認定能力が米国産業基盤として強化される。
  • また、次世代宇宙電源システムの基盤的工学領域として「故障モード工学」への継続投資が示されたともいえる。
参照情報
一次情報(公式リリース、公式発表、PRサイト等)
NLRのバッテリー技術、NASAの「発明大賞」を受賞

https://www.nlr.gov/news/detail/features/2026/nlr-battery-innovation-awarded-nasa-invention-of-the-year

参照記事
宇宙飛行士を守る隠れたバッテリーブレークスルー

https://news.az/news/the-hidden-battery-breakthrough-helping-protect-astronauts-in-space