総括

2025年11月期(対象期間:10月26日〜11月28日)は、欧州・インドを中心に政策予算と契約案件が多く提示され、宇宙インフラや安全保障関連領域の支出が明確化した。民間企業の調達活動はインド・欧州のスタートアップを中心に進み、地上系衛星通信、衛星量産、軌道上サービスなど複数分野で投資と契約が並行した。政府主導の大型支出と民間の成長資金の双方が捉えられた月となった。


■ 政策・予算:欧州が安全保障と測位基盤に重点的支出

英国政府は、測位・航法・タイミング(PNT)基盤の強靭化を目的とした1億5500万ポンドの予算措置を決定した。
eLoranの整備と国家タイミングセンターの能力強化を通じて、地上系PNTインフラの補完を図る内容となっている。

ドイツ政府は、衛星通信・情報収集・軌道上対応能力を含む宇宙安全保障戦略を公表し、350億ユーロ規模の支出方針を明示した。
欧州宇宙機関(ESA)は、防衛宇宙能力の強化に向けて10億ユーロ規模の基金案を提示し、宇宙からのレジリエンス向上を目的とするプログラムを提案した。
欧州投資銀行(EIB)は、Space TechEU を通じて宇宙企業向け融資枠を構築し、成長資金の供給手段を拡充した。

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■ 契約・調達:探査・深宇宙通信・環境観測・防衛で案件が進行

ESAは、軌道上サービス実証に関するシステム予備設計審査を完了し、関連ミッションの開発フェーズを前進させた。
また、オーストラリアに35m級の深宇宙アンテナを開設し、建設費6,230万ユーロ規模のプロジェクトで深宇宙通信ネットワークの強化を進めている。
NASAは、成層圏観測システム開発プロジェクトに約85万ドルを拠出し、環境監視能力の高度化を進める姿勢を示した。

インド国防省は、Paras子会社に対して3.95クロール規模の対ドローンシステムを発注し、防衛用途の装備近代化を進めている。

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■ 投資・出資:小型ロケットとインフラ拠点への投資が進展

スウェーデンのSaabは、Pythom Spaceに1000万ドルを出資し、小型ロケットおよび即応型宇宙アクセス技術の開発を支援した。
インドのタミル・ナードゥ州政府系機関TIDCOは、発射場近郊に宇宙推進薬パークを整備する計画を公表し、地方レベルでの宇宙産業拠点形成を目指している。

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■ 資金調達:衛星量産・軌道上サービス・ロケット量産に向けた資金確保

ドイツのReflex Aerospaceは、欧州新宇宙分野で過去最大規模となる5,000万ユーロの調達を実施し、衛星プラットフォームの量産体制強化を図る計画を示した。
イタリアのAdaptronicsは、EAAL技術を用いたロボティクス関連事業で315万ユーロを調達した。
フランスのInfinite Orbitsは、軌道上サービスの強化を目的として4,000万ユーロを調達し、欧州での展開拡大を進める方針を示した。

インドでは、Agnikulが再使用ロケットの量産に向けて15億ルピーの調達を行い、量産体制および射場運用の準備を加速させている。
uLooK Technologiesは、宇宙インテリジェンス開発のために1.9億ルピーを調達し、データ解析・監視サービスの基盤強化を進めている。
米国のQuindarは、衛星運用基盤と機密施設整備に向けて1,800万ドルの調達を実施した。

インド政府は、100億ルピー規模の宇宙ベンチャーファンドを正式運用開始し、IN-SPACeを通じたスタートアップ支援を本格化させている。

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■ 見込み案件:契約確定前の大型案件

米国では、SpaceXが約20億ドル規模の国防総省衛星契約を獲得する見込みであると報じられており、「ゴールデン・ドーム」構想の一部としてミサイル防衛関連の衛星網構築に関与する可能性が示されている。
本件は現時点で契約見込みの段階にあり、正式な契約内容とスケジュールが今後の焦点となる。

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■ 総括

25月は、欧州各国の政策予算とESA/EIBの枠組み整備により、測位・防衛・深宇宙通信など上流インフラに対する公的支出が明確化された月となった。
同時に、衛星量産・軌道上サービス・小型ロケット・宇宙インテリジェンスなどの分野で調達や出資が相次ぎ、欧州とインドを中心に事業拡大フェーズにある企業群が確認できた。
インドでは、政府系ファンドと州レベルのインフラ投資がスタートアップの活動と連動しており、宇宙産業クラスター形成に向けた動きが進んでいる。
全体として、政策・契約・調達・出資が上流から下流まで複数レイヤーで同時に進行したことが、この月の特徴になっている。