要点
  • NASAは2026年5月12日、現行宇宙機プロセッサの最大100倍の演算性能を持ち、深宇宙の過酷環境にも耐える設計の「High Performance Spaceflight Computing(HPSC)」プロセッサの試験進捗を公開した。
  • 手のひらサイズで耐放射線型のマルチコア・システム・オン・チップとなる本プロセッサは、ジェット推進研究所(JPL)で放射線、熱、衝撃、機能の各試験を進めており、実NASAミッションから抽出した高忠実度着陸シナリオを用いて、従来は大電力アビオニクスが必要だった着陸センサ大量データ処理での性能評価を実施している。
  • NASAラングレー研究センターのGame Changing Developmentプログラム要素マネージャEugene Schwanbeck氏は、本マルチコアシステムを「フォールトトレラントで柔軟、極めて高性能」と評し、過去の宇宙機プロセッサの系譜を継承する設計と説明した。
  • 本プロセッサは、自律宇宙機の実現、科学ミッションでの機上データ解析高速化、月・火星探査の宇宙飛行士支援を狙う。
  • 現行ミッションは耐放射線性確保のため何年も前に設計されたチップに依存し、新世代のAI志向・高自律ミッションが求める性能を満たしていない。
  • HPSCは商業パートナーシップに基づき、現代の半導体設計・パッケージング技術を耐放射線性と両立させる形で開発されており、政府専用設計の従来路線から実質的にシフトする内容となる。
  • 本プロセッサは、計算性能がミッション能力の制約となる次世代の深宇宙探査機、月面資産、軌道インフラの基盤要素として位置づけられる。
  • 認定試験の成功は宇宙機の自律性と機上機械学習のアーキテクチャ枠を広げ、時間制約の厳しい判断における地上処理依存を低減することにつながる。
参照情報
一次情報(公式リリース、公式発表、PRサイト等)
NASA次世代宇宙プロセッサ「HPSC」が試験段階に

https://www.jpl.nasa.gov/news/hello-universe-nasas-next-gen-space-processor-undergoes-testing/

参照記事
NASA、現行宇宙プロセッサの500倍の処理能力を持つ放射線耐性チップ発表

https://interestingengineering.com/space/new-nasa-radiation-hardened-space-chip