要点
  • SpaceXは、12回目のStarship試験飛行を、テキサス州スターベースに新設した発射台から5月19日午後5時30分(中部時間)以降に打ち上げる準備を進めていると発表した。
  • Flight 12は次世代Starship/Super Heavyのデビュー飛行であり、進化版Raptorエンジンを搭載するうえ、両段ともに完全かつ迅速な再使用を狙った大幅な再設計が施されている。
  • 第1段ブースターの主目的は、打ち上げ・上昇・ステージ分離・ブーストバックバーン・着陸バーンの一連の動作をアメリカ湾沖合の着船ポイントで成功させることで、再設計初飛行のため発射台へのキャッチは試みない。
  • 上段は、次世代Starlinkサイズの「Starlinkシミュレータ」22基の放出、宇宙空間での単一Raptor再着火、最後の2基によるStarship耐熱シールド撮像(一部タイルを白塗装し欠損タイルを模擬)といった目標を追う。
  • 再突入では、隣接タイルへの空力負荷を計測するためにタイル1枚を意図的に取り外し、後部フラップを構造限界まで負荷するテストや、将来のスターベース帰還軌道を模擬する動的バンキング機動を行う。
  • Super Heavy V3はグリッドフィンを4枚から3枚に削減(各50%大型化・強化、新キャッチポイント追加)、グリッドフィンシャフト・アクチュエータ・固定構造をブースター主燃料タンク内に移動し、使い捨てインターステージに代わるインテグレーテッドホットステージを採用し、燃料移送管をFalcon 9第1段に匹敵するサイズへ再設計して33基Raptorの同時起動を可能にする。
  • 後部熱防護系は推進系・航法電子と密結合する形で再設計され、大型エンジンシュラウドは廃止、CO2消火システムも撤去、クイック・ディスコネクトも単一から物理的に分離された2系統へ変更された。
  • Starship V3は推進系をクリーンシートで再設計し、新方式のRaptor始動、燃料タンク容量拡張、姿勢制御系の改良を盛り込んでいる。
編集部コメント

Flight 12は初物の塊といえる構成で、Raptor 3エンジン、両段クリーンシート推進系、Falcon 9第1段相当に再設計された33基同時起動を可能にする燃料移送管、一体化ホットステージ、新設のPad 2を単一ミッションに集約している。既にキャッチ能力を実証済みのSpaceXがあえて今回のブースターをキャッチさせない判断は、Flight 12を回収運用の磨き込みではなく機体エンベロープの確認試験として位置づけている表れと読める。在飛試験項目の幅広さ(Starlinkシミュレータ22基放出、宇宙空間での単一Raptor再着火、シミュレータ搭載カメラによる耐熱シールド撮像、意図的な欠損タイル空力試験、後部フラップの構造限界試験、動的バンキング機動)からも、Flight 12が「データ収集を最大化する計器化飛行」として設計されており、運用最適化は後続のV3飛行に委ねられている構図が読み取れる。

参照情報
一次情報(公式リリース、公式発表、PRサイト等)
Starship 第12回飛行試験(SpaceX公式)

https://www.spacex.com/launches/starship-flight-12

参照記事
SpaceX Starship 12号機飛行の詳細

https://www.leonarddavid.com/spacex-starship-12-flight-details/

参照記事
テキサスでのSpaceX 12回目のStarship打ち上げに至る軌跡

https://www.caller.com/story/news/2026/05/14/spacex-starship-flight-12-starbase-recap/90076058007/