再使用ツートップ時代が到来——
Blue Origin、New Glennで史上初のブースター回収に成功

※ 編集方針と主要記事の選定基準
本レポートの「主要ニュース(Top Stories)」は、編集部の主観を排し、世界中の宇宙関連ニュースから「同一テーマを扱った類似記事の件数」を独自集計し、客観的な基準で選定している。複数のメディアや機関が同時期に報じた事象は、業界全体に与えるインパクトが大きく、重要度が高いと判断するためである。

■ Weekly Summary(先週のサマリ)

先週(4/18〜4/24)は、Blue Originによる大型再使用ロケットの歴史的な初ブースター再使用飛行米宇宙軍のGolden Dome向け宇宙配備型迎撃機開発の本格始動、そしてGPS IIIシリーズの完結と米国宇宙インフラの次章への移行が際立った一週間となった。

最大の話題は、Blue Originが史上初めてNew Glennの第1段ブースターを再使用してNG-3を打ち上げ、洋上への着陸回収にも成功した(32件)ことだ。「巨大な筒が垂直に帰ってくる」光景がSpaceXの独占ではなくなり、米国の大型打ち上げ市場に本格的な「再使用型ツートップ」時代が到来した。

防衛・安全保障面では、Space ForceがGolden Domeの中核となる宇宙配備型迎撃機の開発企業12社を選定(5件)し、2027年度予算でSpace Forceに前年比124%増の711億ドルを要求(4件)するなど、宇宙防衛への投資が一段と加速した。GPS IIIシリーズの最終機「Hedy Lamarr」が打ち上げられ全10機が揃ったことも(4件)、米国の測位インフラ整備における重要な節目となった。


■ Data Dashboard(先週の統計データ)

先週収集された宇宙産業ニュース(総計90件)の構成は以下の通り。

◆ カテゴリ別 記事件数

  • 宇宙機関連ハード・サービス:54件
  • 政策・企業・市場:21件
  • サブシステム・部品:4件
  • 施設・インフラ:4件
  • エネルギー・資源:3件
  • その他:4件
◆ 国・地域別 記事件数(主要)

  • 米国(共同事業含む):約55件
  • 欧州全域・各国(仏・独・欧州広域):約15件
  • カナダ:約5件
  • パキスタン・中国(共同):約3件
  • ポーランド・フランス(共同):約3件
  • その他(英国・インド・韓国 等):約9件

■ Top Stories(主要ニュース)

1. Blue Origin、New Glennで史上初のブースター再使用飛行に成功——洋上回収も達成しツートップ時代が到来

【同一テーマ記事:32件】

Blue Originは2026年4月19日、New Glennの第3回飛行となるNG-3をCape Canaveral Space Force Stationから打ち上げた。同ミッションでは過去のNew Glenn飛行で使用した第1段ブースターを初めて再使用し、分離後は大西洋上の着陸プラットフォーム「Jacklyn」への着陸にも成功した。搭載ペイロードはAST SpaceMobileの次世代Block 2 BlueBird衛星「BlueBird 7」で、衛星は投入後に正常に起動した一方、参照記事によると予定外の軌道に入ったとされる。再使用では、ブースターが前回飛行後に改修されエンジン交換などの変更が加えられた。全長約98メートル、7メートル級フェアリングを備える大型再使用型ロケットが大型ブースターの再使用と洋上回収を実証したことで、Blue Originは打ち上げ頻度向上とコスト競争力確保に向けた重要な実績を得た。これで米国の大型打ち上げ市場は、本格的な「再使用型ツートップ」時代に突入した。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0209/

2. UNIVITY、2,700万ユーロを調達——通信事業者向け「主権的な宇宙インターネット」基盤を開発へ

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フランスのスタートアップUNIVITYが、通信事業者向けの高速・低遅延な宇宙ベース接続インフラ構築に向け2,700万ユーロを調達した。資金調達にはBlast・Expansion・BpifranceがFrance 2030の一環として運用するDeeptech 2030 fundなどが参加。同社は通信事業者が自社ブランドで宇宙ベースの接続サービスを提供できるホールセール型インフラを目指し、Very Low Earth Orbit(VLEO)衛星と通信事業者の5G周波数を活用した5G NTN連携を図る。今回の資金はCNESの支援を受けるuniShape VLEO 5G実証プログラムの実行に充てられ、2028年以降の商用拡大を見据えている。「宇宙通信を一部の垂直統合型プレイヤーに独占させない」という欧州の主権意識が反映された資金調達であり、地上通信と衛星通信の境界が薄れていく時代を象徴する動きと言える。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0267/

3. Artemis III向けSLSコアステージをKSCへ出荷——Mobile Launcherとの統合準備が本格化

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NASAはArtemis IIIで使用するSLSロケットのコアステージをMichoud Assembly FacilityからKennedy Space Centerへ出荷した。コアステージは全長約65メートルで、液体水素・液体酸素を推進剤とする主推進構造を担う。KSCでは今後、他のロケット要素との統合および打ち上げ準備が進められる。先週のVol.25ではMobile LauncherのVAB帰還が報じられており、Artemis IIIに向けた地上・機体両面での準備が着実に加速している。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0169/

4. Space Force、Golden Dome向け宇宙配備型迎撃機の開発企業12社を選定——最大32億ドル規模のOTA契約

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米宇宙システム軍(SSC)が、宇宙配備型迎撃機(Space Based Interceptor)の開発に向け、Lockheed Martin・Northrop Grumman・Raytheon・SpaceXなど12社を選定した。契約はOther Transaction Authority(OTA)を活用して最大32億ドル規模で、複数のプロトタイプ開発を並行して進める。本プログラムはミサイルの高速化・高機動化に対応する新たな迎撃能力の構築を目的とし、宇宙空間からのブースト段階・中間段階での対処能力向上を想定する。近年の打ち上げコスト低減やセンサー技術の進展により、長年議論されてきた宇宙空間からの迎撃構想が再び現実的な選択肢として浮上しており、複数企業による並行開発は技術リスク分散の意味合いも持つ。宇宙領域における防衛能力の高度化を象徴する動きだ。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0729/

5. Northrop GrummanとFlexcompute、AI物理モデルで宇宙ミッション準備を最大100倍高速化

【同一テーマ記事:5件】

FlexcomputeとNorthrop Grummanが、NVIDIA PhysicsNeMoを基盤とするAI物理モデルにより、宇宙ミッション準備時間を最大100倍短縮できると発表した。対象はドッキングや近接運用で課題となるスラスタ噴流の影響予測で、従来は高忠実度シミュレーションに基づく大規模データセット作成に数カ月を要していた。新モデルは物理情報を組み込んだ学習によりスラスタ噴流と周辺構造物の相互作用を数秒で予測し、不確実性推定も組み込まれてミッションクリティカルな制御判断を支援する。「数カ月を数秒に」という変化は設計・解析フェーズの試行錯誤を大幅に高速化し、構造設計の余裕見直し・燃料効率化・ミッション寿命延長につながる可能性がある。NVIDIAの計算基盤・Flexcomputeの物理AI・Northrop Grummanのミッション経験が結びついた、宇宙開発のデジタルトランスフォーメーションを象徴するニュースだ。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0045/

6. 2027年度予算案、Space Forceに前年比124%増の711億ドルを要求——衛星通信・ミサイル追跡・Space Controlを重点化

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米空軍省が2027年度予算案としてAir ForceとSpace Forceに計3,388億ドルを要求すると発表した。うちSpace Forceへの要求は711億ドルで、2026年度から124%増と大幅に増額された。内訳は衛星通信67億ドル・ミサイル警告追跡68億ドル・Space Control 216億ドル・国家安全保障打ち上げ追加29億ドルなど。さらにSpace Forceの人員を2,800人増強する計画も含まれる。宇宙領域が安全保障の中核インフラとして扱われており、宇宙での抑止力と作戦継続能力を強化しようとする米国の意図が明確に示されている。先週のVol.25(710億ドル要求)とほぼ同水準で、予算増額の方針が週をまたいで確認された形だ。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0812/

7. GPS IIIシリーズ最終機「Hedy Lamarr」打ち上げ成功——衛星間通信を実証し次世代GPS IIIFへ移行

【同一テーマ記事:4件】

米宇宙軍は4月21日、GPS IIIシリーズ最終機となるGPS III SV10をSpaceXのFalcon 9でCape Canaverálから打ち上げた。「Hedy Lamarr」の愛称を持つ同衛星はGPS IIIシリーズ全10機を完結させるとともに、GPS衛星間の直接通信を検証するクロスリンク実証ペイロードと次世代GPS IIIFにつながる技術実証要素を搭載した。従来世代比で測位精度3倍・ジャミング耐性最大8倍に向上し、軍用M-code信号にも対応する。衛星間通信の実証によりGPSが地上局依存を減らす次世代構成へ進み始めており、建国250周年の節目の年に、かつてハリウッドを彩った女性発明家の名が現代社会の重要インフラを担う衛星に冠されたことも注目された。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0614/

8. MDA Space、AirbusよりOneWeb拡張向けアンテナ1,320基超を追加受注——2016年からのリピートオーダー

【同一テーマ記事:4件】

カナダのMDA SpaceがAirbusから、OneWeb低軌道コンステレーション拡張向けアンテナの設計・製造契約を受注した。受注内容はKa-band steerable antennas 880基超とKu-band user replacement antennas 440基の計1,320基超で、MDAのモントリオール量産施設で製造されAirbusのArrow通信衛星に統合される。Eutelsatが保有するOneWebは650機規模の低軌道コンステレーションを展開しており、2024〜2025年に計440機の追加製造契約を発注済みだ。今回はMDAが2016年に受注した約2,000基に続くリピートオーダーで、「打ち上げ」が注目されがちな中でアンテナ製造で着実に収益を上げるMDA Spaceの強みが改めて示された。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0033/

9. Buckley Space Force BaseとMalmstrom空軍基地、原子力マイクロリアクター設置候補に選定——2028年納入見通し

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米空軍省とDefense Innovation Unitが、商業企業所有・運用の原子力マイクロリアクターを軍基地に導入するAdvanced Nuclear Power for Installationsプログラムの候補地として、Colorado州Buckley Space Force BaseとMontana州Malmstrom Air Force Baseを選定した。選定では電力インフラ・土地利用可能性・重要任務の要件などが評価され、停電や危機時でも重要任務を継続できるエネルギー・レジリエンスの向上が目的だ。Buckley向けにはRadiant Industriesが関与する見込みで、2028年の納入も視野に入る。24時間365日の稼働が求められる宇宙軍基地にとって、外部グリッドに左右されない電源は任務継続の要であり、先週の宇宙原子力イニシアチブ(Vol.25)と合わせ、宇宙・防衛分野での原子力活用が着実に具体化している。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0403/

10. Nancy Grace Roman Space Telescope完成——Hubbleの100倍の視野で2027年打ち上げへ

【同一テーマ記事:3件】

NASAがNancy Grace Roman Space Telescopeの主要部分の組み立てと統合を完了し、最終試験フェーズへ移行した。打ち上げは2027年5月までに予定され、早ければ2026年秋の可能性もある。搭載光学系はHubble望遠鏡と同程度の解像度を維持しながら約100倍広い視野を持ち、暗黒エネルギー・暗黒物質の解明や系外惑星の直接撮像を目指す。打ち上げにはSpaceXのFalcon Heavyが使用され、観測拠点は地球から約150万kmのL2。NASAのScience部門で予算削減が相次ぐなか、完成に至ったRomanは次世代天文観測の中核を担うミッションとして注目が高まっている。

詳細記事はこちら ≫ https://astronavi.jp/news/26-16-0449/


■ Sector & Regional Deep Dive(カテゴリ別動向)

【輸送・打上げ | 再使用ツートップ時代の幕開けとArtemis IIIへの加速】

New Glennの初ブースター再使用(32件)が今週の最大トピックだ。Artemis III向けSLSコアステージのKSC出荷(6件)も続き、輸送インフラの両輪が同時に前進した。ESAのSpace Rider投下試験モデルが完成し飛行試験へ(3件)するなど、欧州の再使用型宇宙機開発も着実に進んでいる。

【防衛・安全保障 | Golden Dome本格化と宇宙軍予算の歴史的膨張】

宇宙配備型迎撃機の12社選定(5件)・Space Force 711億ドル要求(4件)・原子力マイクロリアクター候補地選定(4件)と、防衛関連が上位を占めた。Space ForceがNASAの月面基地構想を視野に入れcislunar空間の取得タスクフォースを設置(2件)し、Space Force自体も4つの新たな作戦センターで運用拠点を拡大(2件)するなど、宇宙軍の実体化が加速している。

【AI・技術革新 | ミッション準備の「100倍高速化」が示すAI物理モデルの実用段階】

Northrop Grumman・Flexcompute・NVIDIAの連携によるAI物理モデル(5件)は、宇宙開発におけるAI活用が設計・解析フェーズの実用段階に入ったことを示す。NASAのArtemis II向けレーザー通信システム「O2O」の実証進展(3件)も加わり、AI・光通信・ミッション設計の三面でデジタル化が進んでいる。

【企業動向・資金調達 | 欧州スタートアップと衛星コンステレーション関連の受注が活発】

UNIVITY(8件)・Atmos Space Cargo シリーズA 2,570万ユーロ(3件)と、欧州スタートアップへの資本流入が続く。MDA SpaceのOneWebアンテナ追加受注(4件)は「コンステレーションの裏側を支える企業」の収益力を示した。Helioが宇宙ベースエネルギー・アンテナ技術分野の知財フレームワーク構築を本格化(3件)するなど、次世代宇宙ビジネスの知財戦略も動き始めている。

【測位・通信衛星 | GPS IIIの完結と欧州・アジアの通信基盤整備】

GPS III SV10「Hedy Lamarr」(4件)のシリーズ完結は米国測位インフラの重要な節目だ。SSC SpaceとKuva Spaceが北欧地域でのハイパースペクトル観測協力に合意(2件)し、パキスタンが中国Taiyuanから地球観測衛星EO-3の打ち上げに成功(3件)するなど、アジア・北欧の宇宙インフラ整備も着実に進んでいる。

【防衛衛星・多国間協力 | ポーランド・欧州の安全保障インフラ整備】

AirbusとThales Alenia Spaceがポーランド企業RADMORと協力し防衛通信衛星を検討(3件)するなど、NATOの東側防衛強化に向けた宇宙インフラ整備が欧州各国で進んでいる。宇宙配備型迎撃機(5件)とも連動し、宇宙安全保障の多国間協力フレームが急速に具体化している。